投稿日:2023/12/22
更新日:2024/10/01
でんきの豆知識
近年、毎年のように、電力不足のニュースを耳にするようになりました。電気使用量が多くなる夏や冬に、政府からの節電要請が出されることも珍しくありません。
そもそも、電力不足とは具体的にどのような状況なのでしょうか?
本記事では、節電要請が出される具体的な条件や、日本で電力不足が増えている理由を分かりやすく解説していきます。電力需給のひっ迫に備えてやるべきこともご紹介しますので、この冬の備えがまだの方は、ぜひ、参考にしてみてください。
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目次
電力を安定供給するためには、電力の需要(消費量)と供給(発電量)が常に一致している必要があり、これを「同時同量の原則」といいます。電力の需要と供給のバランスが崩れると、電気の品質(周波数)が低下してしまい、正常な供給が行えなくなってしまうのです。
需要と供給が常に一致している必要があるといっても、完全に同量というわけではありません。電気は発電したそばから消費しなければならず、ためておくことができないため、自然災害や発電設備のトラブルなどで急に発電所が停止してしまっても需給バランスが崩れないよう、需要に対してある程度ゆとりをもった量を発電しているのです。このゆとりを「電力供給予備率」といいます。
電力を安定供給するには、予備率を3%以上確保しておく必要があるとされています。そのため一般的には、予備率が3%を下回った状態のことを「電力不足」「電力需給のひっ迫」と呼びます。
電気使用量が多くなる夏と冬の電力需給の見通しが厳しい場合、政府は国民に対し節電要請を行います。これはあくまでも、無理のない範囲で節電を心がけてくださいと呼びかけるものです。夏は7月〜9月、冬は12月〜3月が対象期間で、通常、対象期間の前月に方針が発表されます。
実際に夏や冬を迎え、予備率が一定の水準を下回る可能性があると予測された場合には、「電力需給ひっ迫注意報・警報」が発令され、より強く節電が要請されます。具体的には、翌日の予備率が5%を下回ると予測された場合は「電力需給ひっ迫注意報」が、翌日の予備率が3%を下回ると予測された場合は「電力需給ひっ迫警報」が、前日の16時を目途に資源エネルギー庁から発令されます。
初めて電力需給ひっ迫警報が発令されたのは、2022年3月22日です。2022年3月16日の深夜に福島沖で発生した最大震度6強の地震により、複数の火力発電所が稼働を停止していたこと、また時季外れの寒波により電力需要の増加が見込まれたことから発令されました。
また2022年6月27日には、電力需給ひっ迫注意報が発令されています。このときは、統計開始以降最も早い梅雨明け(後に7月下旬に見直し)となり、連日猛暑が続いたことから電力需要が急激に増加し、供給量が追いつかなくなってしまいました。
もし仮に、電力需給ひっ迫警報を発令しても予備率が回復しなかった場合は、どうなるのでしょうか?
電力需給ひっ迫警報の発令後も状況が改善されず、予備率が1%以下になると見込まれる場合は、計画停電を実施して電力需給のバランスを取ることになります。
計画停電実施までの流れは、以下の通りです。なお、途中で電力需給のひっ迫状況が解消された場合は、実行されません。
実際、2011年3月11日に発生した東日本大震災により、福島第一原子力発電所をはじめとする多数の発電所が停止し、供給力が大幅に低下した際には、東京電力管内にて計32回の計画停電が実施されました。
万が一、節電要請や計画停電が失敗し、電力需給のバランスが崩れてしまった場合は、ブラックアウトと呼ばれる大規模停電が起こってしまいます。
日本初のブラックアウトは、2018年9月6日の未明に起こった、北海道エリア全域に及ぶ停電です。TVや新聞などで大きく取り上げられたことから、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。北海道胆振東部を最大震度7の地震が襲い、火力発電所、風力発電所、水力発電所が順に停止。その結果一気に供給量が減り、需要とのバランスが崩れて大規模停電が起こってしまったのです。
日本で電力需給のひっ迫が増えている主な理由は、供給力の低下です。さまざまな要因が重なって、供給量の少ない時季や時間帯が発生してしまっているのです。
東日本大震災以降、原子力発電所に対する見方は一気に厳しくなりました。特に老朽化した原子力発電所は危険視されており、2023年12月現在、多くの原子炉が停止や廃炉になっています。
資源エネルギー庁の資料によると、日本にある原子炉60基のうち、2023年10月27日時点で再稼働しているのはたったの12基(稼働中10基、停止中2基)しかありません。また再稼働している原子力発電所は西日本に集中しており、東日本には1基もありません。
なお、原子力規制委員会から設置変更許可を得ている原子炉が5基、新規制基準審査中が10基あることから、今後、再稼働する原子炉は多少なりとも増えていくと考えられます。
日本は化石燃料に依存した、火力発電大国です。一方で、地球環境の保全のための取り組みとして、脱炭素化も目指しており、再生可能エネルギー(再エネ)の導入促進とともに、老朽化した火力発電所の停止や廃炉を進めています。
しかし、再エネが火力発電と全く同じ役割を担えるわけではありません。いまだに電力の72.7%を火力発電に依存しているため、火力発電所の減少が、そのまま供給力の低下につながってしまいます。
年々、夏の暑さが厳しくなっており、それに伴って電力需要が増えているため、火力発電の稼働も増えています。そのため夏以降、電力会社の液化天然ガス(LNG)在庫が、一時的に不足してしまうという事態が発生してしまっています。
LNGは、他の化石燃料よりも二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出量が少なく、硫黄酸化物(SOx)を排出しないため、地球環境の保全の観点からも世界的に需要が増加しており、供給余力が減少してしまっています。また取引や輸送に関する制限もあり、不足分をすぐに補充できるというわけではありません。そのため、LNGの在庫の減少が著しかったり、積み上げが間に合わなかったりすると、火力発電の稼働に制限が生じ、供給力が低下してしまうのです。
近年、大雨特別警報や記録的短時間大雨情報、線状降水帯の発生といった、大雨災害のニュースをよく耳にするようになりました。実際、大雨の年間発生回数は著しく増えており、一方で、年間の降水日数は減少しているため、毎年のように渇水が発生しています。
ダムの貯水率の低下は、水不足のみならず、水力発電の供給力の低下にもつながります。
再エネの導入拡大も、電力需給のひっ迫を引き起こす要因の一つとなっています。再エネは天候などの条件によって発電量が変動するため、供給量の見通しが立てにくく、コントロールするのも難しいです。普及が進むにつれて供給量の変動幅はどんどん大きくなっており、発電条件に合わない天候が続くと発電量が大幅に減少し、電力不足につながってしまいます。
2023年11月1日、経済産業省は2023年度冬季の電力需給について、全エリアにおいて最低でも予備率5%を確保できる見通しであることから、節電要請は行わない方針であると発表しました。冬に節電要請が行われないのは、2年ぶりです。
また2023年9⽉19⽇に気象庁が発表した「寒候期予報」によると、今冬の気温は、北⽇本は平年並みか平年より⾼く、東・⻄⽇本と沖縄・奄美も平年より⾼い⾒込みのため、電力需要もある程度落ち着くと考えられます。
一方で、確保している供給力の中に⽼朽化した⽕⼒発電所が含まれているといった課題もあり、発電設備のトラブルなどのリスクを考えると、この冬も余談を許さない状況といえます。また寒波の襲来などで局所的に需要が増加し、電力需給がひっ迫してしまう可能性もあります。万が一のための備えはしておいた方が良いでしょう。
ここからは電力需給のひっ迫に備えて、私たちがやるべきことをご紹介します。
節電要請は行わない方針とはいえ、可能な限り、無駄な電力の使用は控えるべきです。待機電力の削減や各家電の設定の見直しなど、簡単にできることから節電を行い、無理なく無駄な消費電力を減らしましょう。
過度な節電は、健康や快適な生活を害する恐れがあるため、何ごともほどほどに。特に暑さや寒さは命に関わる場合もあるため、エアコンを一切使わずに我慢するといった、無理な節電は厳禁です。習慣化できるような小さな節電アクションを積み重ねていきましょう。
無理なく無駄な消費電力を減らせる節電方法を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
>無理なく節電をして電気料金を節約&ポイントやギフト券をゲット! デマンドレスポンス参加時の節電方法を徹底解説!
滅多に起こることではありませんが、万が一の計画停電やブラックアウトに備えておくことも大切です。計画停電であればせいぜい2〜3時間程度ですが、ブラックアウトの場合は、復旧までにどのくらいの時間を要するかわかりません。日頃から十分な備えをしておくことをおすすめします。
飲料水や非常食の他、懐中電灯、スマホのバッテリー、ラジオ、乾電池など、日頃から防災備蓄をしておきましょう。地震や台風などの自然災害に見舞われた際にも役立ちます。また夏は暑さ、冬は寒さとの戦いになるため、電気がなくても体を冷やしたり、温めたりできるアイテムを用意しておくと安心です。
コンパクトなソーラーパネルがセットになった蓄電池などもあるので、停電中に電力を確保する手段として、購入を検討してみても良いでしょう。
近年では、政府が行う電力需給対策とは別に、企業ごとの取り組みとして、デマンドレスポンスを実施する小売電気事業者が増加してきました。
デマンドレスポンスとは、電力の供給状況に応じて、需要家が賢く電気使用量をコントロールする取り組みです。一般家庭向けのデマンドレスポンスでは、電気使用量が多くなる時間帯に節電を要請する取り組みが一般的であることから、「節電キャンペーン」という名称で実施されるケースが多いです。
指定された日時に節電を行うことで、節電成功回数やキャンペーン期間中の総削減量などに応じたポイントやギフト券がもらえる他、節電による電気料金の節約も期待できます。仮に節電目標を達成できなかったとしても、ペナルティなどはありません。
需要家にとってメリットの多い取り組みなので、ご契約中の小売電気事業者がデマンドレスポンスを実施しているなら、迷わず参加することをおすすめします。
デマンドレスポンスについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
>デマンドレスポンスとは? 種類や参加方法、参加のメリットを解説!
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「TERASELでんき」をご契約中で、まだ「2023年冬の節電ポイントキャンペーン」への参加表明をされていない方は、ぜひマイページからご参加ください。
2023年度冬季は、節電要請は行わない方針ということですが、発電設備のトラブルや寒波の襲来などによって、電力需給がひっ迫する可能性も0ではありません。万が一のための備えはしておいた方が良いでしょう。
電力需給のひっ迫に備えて節電をするなら、デマンドレスポンスに参加してみましょう。指定の日時に節電をするだけでポイントやギフト券がもらえる他、電気料金の削減や節電の習慣化にもつながり、需要家にはメリットしかありません。
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