投稿日:2024/02/07
更新日:2024/09/05
でんきの豆知識
近年、電気の新しい料金プランとして、「市場連動型プラン」や「市場価格を反映させたプラン」が続々と登場しています。
市場価格とは、文字通り市場において取引される価格ですが、そもそも電気の市場価格とはどこでどのように取引された価格なのでしょうか?
本記事では、電気の市場や市場価格が決定する仕組みの他、過去の市場価格高騰の事例もご紹介します。
※本記事の内容は2024年9月時点の情報です
目次
電気の市場価格とは、「日本卸電力取引所(JEPX)」で取引される電気の約定価格のことです。
JEPXでは基本的に、1日24時間を30分ごとの計48コマに分割し、1コマごとに取引を行うため、市場価格は30分ごとに変動します。
またJEPXでは日本を北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の9つのエリアに分けて取引を行なっているため、電力の供給エリアによっても単価が変動します(エリアプライス)。
日本卸電力取引所の正式名称は、「一般社団法人日本卸電力取引所」です。すでに本記事でも使用していますが、「Japan Electric Power Exchange」の略称の「JEPX(ジェーイーピーエックス、ジェイペックス)」と呼ばれることが多いです。
JPEXは2003年に設立された、日本で唯一、卸電力を売買できる市場で、発電事業者から電力を購入し、それを小売事業者に販売しています。
2000年から電力の小売自由化が始まり、多くの新電力が参入しましたが、新電力の大半は発電所を所有していません。電力の小売自由化には、小売電気事業者が安定的に電気を調達できる仕組みが不可欠です。そこで発電事業者と小売電気事業者が電気を取引できる場としてJEPXが設立されました。
JEPXは会員制のため、取引を行うためには、要件を満たした上で取引会員になる必要があります。
本記事では、JEPXのメイン市場である「スポット市場」の仕組みについて解説します。スポット市場では翌日分の電気の取引を行うため、「一日前市場」とも呼ばれます。電気の市場連動型プランに適用される市場価格も、このスポット市場の価格であることがほとんどです。
スポット市場では、「ブラインド・シングルプライスオークション方式」で約定価格や約定量を決定します。
小売電気事業者(買い手)は「1kWhあたり〇〇円で〇〇〇〇kWh買う」というように、発電事業者(売り手)は「1kWhあたり〇〇円で〇〇〇〇kWh売る」というように、1コマごとに入札をします。「ブラインド」なので、他の参加者の入札動向は分かりません。
入札期間は取引日の10日前から取引日の10:00までで、毎日8:00〜17:00まで入札できます。取引日は受渡日(電気を供給する日)の前日なので、例えば、15日受渡分は、4日8:00〜14日10:00まで入札できるということです。
取引日の10:00になると、全ての入札をもとに需要曲線と供給曲線を算出し、2つの曲線が交わる点が約定価格となります。市場のせりや株式の売買では、最も高い買値を提示した入札から優先的に"入札価格で売買"されますが、スポット市場での電気の取引は「シングルプライス」なので、"入札価格にかかわらず全ての参加者が約定価格で取引"します。つまり、入札価格以下で買える場合もあれば、入札価格以上で売れる場合もあり、またもちろんそれぞれ逆の場合もあるということです。
※参考:一般社団法人日本卸電力取引所. 「取引概要」. https://www.jepx.jp/electricpower/outline/ , (2024-2-7)
市場価格は入札によって決まりますが、以下のような要素が価格に影響を与えることがあります。
先述した要素のうち複数が重なったり、燃料価格の高騰や円安、供給量の減少などが著しく進むと、市場価格が高騰することがあります。本記事では、過去5年で起こった2つの市場価格の高騰の事例をご紹介します。
市場価格の高騰が初めて起こったのが、2020年12月〜2021年1月です。2005年の電気の市場取引開始以来、初めて1日の平均価格が100円/kWhを超える事態となりました。この市場価格の高騰は、複数の要素が重なった結果として起こっています。
上記の要素が重なった結果、JEPXでは売り切れが常態化。市場価格は短期間で一気に高値をつけました。
2022年は1年を通して電気の市場価格が高い傾向にありましたが、その原因は、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻です。
ロシアは2021年時点で、液化天然ガス(LNG)の輸出量で世界第1位、原油や石炭の輸出量でもトップ3に入るほどのエネルギー輸出大国です。そのロシアがウクライナ侵攻を開始したことで、欧州がロシア以外の産出国から天然ガスを買おうとした結果、市場の需給バランスが崩れ、LNG価格が高騰。
また2022年5月9日にG7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)が、ウクライナ侵攻に対する経済制裁として、ロシアからの原油の輸入を禁止する方針であると表明したことで、原油についてもロシア以外の産出国への買い注文が殺到し、価格が高騰しました。
これら一連の燃料価格の高騰に加えて、日本では円安が進み、燃料の輸入価格が高騰。市場価格へと転嫁されました。
2022年は高止まりしていた市場価格ですが、2023年春頃から燃料価格が下がり始め、それに伴って市場価格も下落し、現在は比較的低い水準で落ち着くようになりました。2024年も、このままの水準でキープされれば、従来の料金プランから市場連動型プランに切り替えた方が、電気料金が安くなるケースも増えるでしょう。
2024年8月現在、電気の市場価格は1日平均20円未満の水準を保っていますが、いつまた高騰するか分かりません。電気の市場価格は最高200円まで高騰する可能性があり、市場価格に連動して電気代が大幅に上がってしまう可能性があります。
そこで登場したのが、電気料金の高騰リスクを抑えられる「上限付き市場連動型プラン」です。上限付き市場連動型プランは、電源料金の使用量当たりの単価に上限が設けられているプランで、電気の市場価格がどれだけ高騰しても、設定された上限までしか電源料金の使用量当たりの単価が上がらないため、電気料金の高騰リスクを抑えることができます。
例えば、TERASELでんきの「TERASELマーケットあんしんプラン」であれば、上限単価は36円(税込)です。一般的な電気使用量のご家庭で、2021年1月の東京電力エリアの市場価格を元にTERASELマーケットプラン(上限なし)とTERASELマーケットあんしんプランの電気料金を比較すると、TERASELマーケットあんしんプランの方が1カ月当たり22,470円も電気料金を抑えられます。
急激な電気料金の高騰が心配で市場連動型プランへの切り替えを躊躇っている方は、市場価格が安い時のメリットはそのままに、電気料金の高騰にも備えられるTERASELマーケットあんしんプランを検討してみてください。
電気の市場価格はさまざまな要素によって高騰する恐れがありますが、一方で、現在のような低い水準であれば、市場連動型プランに切り替えるメリットも多いです。市場価格を意識して電気を使える方や、昼間や深夜にたくさん電気を使う方は、市場連動型プランへの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか? 今よりも電気料金を安く抑えられる可能性があります。
TERASELでんきには新しく、上限付き市場連動型プラン「TERASELマーケットあんしんプラン」が登場しました。市場価格が安い時に電気料金を安くできるのはもちろん、万が一、市場価格が高騰しても電源料金の使用量当たりの単価に上限単価36円(税込)が適用されるため、電気料金の高騰リスクを抑えることができます。
またTERASELでんきなら毎月の電気料金に応じて楽天ポイントがもらえ、さらにご契約時には、7つの特典の中からお好きなものを1つプレゼントします。
従来の料金プランから市場連動型プランへの切り替えをご検討中の方や、他社の市場連動型プランからの乗り換えを検討中の方は、ぜひ、市場価格の高騰に備えられるTERASELマーケットあんしんプランの詳細をチェックしてみてください。
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