投稿日:2022/01/19
更新日:2024/11/19
でんきの豆知識
ここ最近、かなり増えてきているオール電化(オール電化住宅)。
その名の通り、ご家庭で使うエネルギーを、すべて電気でまかなうシステムです。
これまでは電気+ガスが一般的でしたし、まだまだ電気+ガスのご家庭も多いですが、ガスに対する不安感から、オール電化に切り替える方も増えてきています。
本文でもご紹介しますが、オール電化はキッチンがHIクッキングヒーターでフラット(平坦)になるため掃除がしやすいほか、炎による引火リスクや、ガスによる一酸化炭素中毒リスクなどが少ないのが特徴です。
安全性が高いということで、子どもや高齢者がいるご家庭なら、なおさら気になるシステムかと思います。
「オール電化は気になるけれど、具体的にどんな設備が必要なのか分からない」
「オール電化ということは、電気代がかなりかかるのでは?」などと、疑問や不安を抱えていらっしゃる方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、そもそもオール電化とはどういったもので、どんな設備に使われているのか、また、オール電化で電気代を節約する方法などを詳しくご紹介します。
すでにオール電化住宅にお住まいの方も、これからオール電化に切り替えようとお考えの方も、家計の見直しのために、ぜひ参考になさってください。
なお、本記事の情報は2024年9月時点での情報になります。
最新の情報は各公式ページをご参考ください。
目次
そもそもオール電化とは、調理に使用するキッチンや空調、給湯など、生活に必要なすべての熱源を電気でまかなっている住宅のことを指します。
例えばキッチンであれば、ガスコンロではなくHIクッキングヒーターが採用されていたり、給湯であれば、夜間にお湯を沸かして日中に使えるようにするエコキュートなどが採用されていたりするもののこと。
ちなみにエコキュートはお湯を沸かす時に発生する熱を床暖房に利用するなどの有効活用も可能で、環境にも優しいシステムです。
前項でも少し触れましたが、オール電化はキッチン、空調、給湯などの設備に使われています。
各々具体的にどのようなものなのかご紹介いたしますので、ぜひ理解を深めてください。
オール電化住宅のキッチンでは、ガスを利用して火をつけるガスコンロではなく、電気を使って金属製の調理器具を発熱させるIHクッキングヒーター(電磁調理器)や、電気を流すと発熱する電熱線を使ったラジエントヒーターなどが使われます。
ガスや火を扱うのが怖い、苦手、という方や、キッチンをスタイリッシュにしたいという理由から、これらの設備を導入しているご家庭もあり、実際、キッチン台がフラットで見栄えが良いです。
オール電化住宅での暖房は、ガスや灯油を使うストーブではなく、エアコンや床暖房、電気ストーブなどを使用します。
オール電化住宅での床暖房は2通りあり、電気ヒーターで床を温めるものと、ヒートポンプで温めたお湯を使うヒートポンプ式温水床暖房とがありますが、昨今ではヒートポンプ式温水床暖房のほうが一般的です。
また、「蓄熱レンガ」という熱を蓄えておくことのできるものを深夜電力で温め、日中その熱を利用して部屋を暖める電気蓄熱暖房機(蓄熱ヒーター)というものを活用しているご家庭もあります。
給湯においては、ガスの湯沸かし器を使うのではなく、エコキュートや電気温水器を活用します。
電気代が安い夜間に、電気を使ってお湯を沸かし、貯湯タンクにそのお湯を貯めておくことで、電気代が高い日中、電気を使わずにお湯を使えるというメリットがあるのです。
オール電化については分かったけれど、エコキュートについてイマイチ分からない、という方もいらっしゃるでしょう。
エコキュートとは、ヒートポンプ技術を利用してお湯を沸かす電気給湯器のことです。
具体的には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
エコキュートの最大のメリットは、お湯をつくるための光熱費が安く抑えられること。
電気でお湯を沸かすためガス料金もかかりませんし、電気代が安い夜の時間帯に動く仕組みなので、電気代を節約することができます。
また、エコキュートのヒートポンプ技術とは、空気中から熱を吸収し熱エネルギーとして活用する技術であるため、環境に優しく、地球温暖化の進行を遅らせる一助にもなるのです。
ただし、エコキュートは設置するための初期費用が高い傾向にあります。
そのため、エコキュートのランニングコストと、設置のためのイニシャルコストを含めたトータルのコストを熟考することも重要です。
また、エコキュートはその特性上、貯湯タンク内のお湯がなくなってしまうと、蛇口から水しか出なくなってしまいます。
お湯切れに陥らないためにも、適切な容量のエコキュートを選択する必要があるでしょう。
昨今増えてきているオール電化住宅。
特にキッチンまわりは見た目もすっきりとして、人気が高いです。
しかし、ここで気になるのは「オール電化の電気代」ではないでしょうか。
「すべてを電気でまかなうということは、電気代が高くなってしまうのでは…?」と不安な方もいらっしゃるはず。
確かに、オール電化はすべてを電力でまかなうため、一般的なご家庭より電気代は比較的高くなる傾向にあります。とはいえ光熱費全体でみれば、割高になるとは限りません。
関西電力の調査によるとオール電化住宅の光熱費は、4人家族以上の場合は月に16,533円、一人暮らしの場合は10,777円という結果が出ています(※)。
なお、一戸建ては集合住宅より3,000円ほど電気代が高くなることも分かりました。
それでは実際、ガスを使用しているご家庭とはどのくらいの差になるのでしょうか。
参考:関西電力.「オール電化の電気代平均額と節約方法」.
https://kepco.jp/denka/alldenka_average/ ,(2024-09-03).
先ほどの関西電力の調査結果では、オール電化住宅で暮らす4人家族以上の場合、平均で月に16,533円の光熱費がかかることが分かりました。
一方、電気代+ガス料金の場合、1カ月の平均の電気代は4人家族で平均11,582円になるという結果が出ています(※)。
ここにガス料金が加算されることになりますが、ガス料金は4人家族で1カ月平均5,042円となるため、電気代+ガス料金のご家庭の方が、光熱費がやや高めになることが分かります(※)。
なお電気代+ガス料金の一人暮らし世帯をみてみると、1カ月当たりの電気代が5,636円で、ガス料金が3,011円です(※)。
計8,647円となり、オール電化の光熱費が10,777円だったことを考えると、一人暮らしの場合は、電気代+ガス料金の方が割安と分かりました。
<オール電化・電気代+ガス料金の光熱費/月における違いまとめ>
参考:総務省統計局.「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 」.
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0002070009,(2024-09-03).
参考:総務省統計局.「家計調査 家計収支編 単身世帯」.
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003348241 ,(2024-09-09)
参考:総務省統計局.「家計調査 家計収支編 単身世帯」.<用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 1-1
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330022&tclass3=000000330024&result_back=1&cycle_facet=tclass1%3Acycle&tclass4val=0&metadata=1&data=1 ,(2024-09-09).
※電気代は電力会社や契約プランによって異なります。
電力会社や契約プランによって異なりますが、オール電化は従来の電気代+ガス料金に比べてほんの少しだけお高くなる可能性があります。しかし、その分メリットが多くあるのです。
ここで、オール電化のメリットを改めて確認してみましょう。
夜の時間帯に電気代が安くなるという特徴を生かして、夜のうちに蓄熱したりお湯を沸かしたりしておくと、電気代が高くなる昼の時間帯に電気を使う量が少なくなります。
節約にもつながることがメリットとして挙げられるでしょう。
安全面で優れている点も、オール電化のメリットです。
特にHIクッキングヒーターは炎を使わないため、エプロンなどへの着火といった事故は起こりにくくなります。
また、燃焼による二酸化炭素も発生しない上、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配もいりません。
キッチンに立つことが多い方にとって、掃除が楽であるという点もメリットに該当するはずです。
HIクッキングヒーターは凸凹したガスコンロと違い、フラットです。
ガスコンロの場合はいちいち五徳を外し、五徳と天板を掃除しなければいけませんが、HIクッキングヒーターの場合は、サッと拭くだけで掃除が完了します。
先述の通り、オール電化住宅では貯湯タンクにお湯をためています。
そのため、災害時に水が使えない場合でも、手洗いやトイレ排水などの生活用水として使うことができるのです。
ただし、容量によってはいざという時にお湯がなくなってしまうことも。
また、そのまま飲用することはできませんので、飲料水は別で必要になります。
メリットの多いオール電化ですが、デメリットが一切ないかと言われると、そうではありません。
気にしておかなければいけないデメリットもあるため、ご紹介いたします。
オール電化の住宅では、夜間の電気代が安くなるプランで契約することがほとんどですが、こういったプランは、一般的なご家庭が契約する従量電灯プランよりも昼間の電気代が高くなっています。
そのため、日中に電気を使用する機会が多いご家庭でオール電化にしてしまうと、かえって電気代が高くなってしまうのです。
オール電化を導入する場合は、ご家庭の生活サイクルを改めて考える必要があるでしょう。
貯湯タンクのお湯を使うことはできますが、オール電化は電気以外のエネルギーは使えないため、停電時、すべての電化製品が使えなくなってしまいます。
ただし、停電したのがご自宅のみであれば、ブレーカーを戻せばすぐに復旧。仮に停電がエリア全体に及んでいても、電気は復旧がはやいという側面があるほか、蓄電池を備えることで停電中も電力を使用できるため、心配し過ぎる必要はありません。
【詳しくはこちらの記事でご紹介しています】
オール電化で停電した時の対処方法|備えておきたい4つのマル秘アイテム
電気+ガスの住宅をオール電化住宅に変更しようとすると、IH調理器やエコキュート、床暖房など、さまざまな機器の購入と設置が必要になります。
また、オール電化特有の機器導入に伴い、電気工事も必要になるため、オール電化導入にあたって多額のコストがかかってしまうことは避けられません。
メリットが多いオール電化ですが、気になるデメリットがあることもわかりました。
その上で、オール電化がおすすめであるのは、どのような方なのでしょうか。
オール電化の場合、夜の電気代が安くなり、昼間の電気代が高くなることをお伝えいたしました。
そのため、日中は仕事で外出をしていることが多いなど、夜に家で過ごすことが多い方に、オール電化は向いているでしょう。
住宅の安全性を重視したい方も、オール電化が向いています。
オール電化の場合、調理の際に火を使わないため、炎が油に引火したり、周囲のものに燃え移ったりすることがなく、安心して使用できるのです。
また、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒の危険性もないため、特に子どもや高齢者、ペットなどと同居している方には、安全性の高いオール電化が向いています。
オール電化の場合、光熱費を一本化できるため、料金の把握がしやすく、節約効果も分かりやすい点がポイントです。
また、電気の場合は小まめにスイッチを切ったり、コンセントを抜いたりなど、節約しやすいため、小さな節約ポイントを意識するだけでも、電気代を抑えることができます。
ガス料金や灯油の料金もかからないため、光熱費削減に繋がるでしょう。
使用するエネルギーをガスから電気に変更するためには、機器の買い替え費用(電気をエネルギーとする機器の本体料金)と、設置・工事費用の2つのコストがかかります。
新築マンションのオール電化にかかる費用は100万円近くともいわれていますが、中古住宅のオール電化の場合や一部のみを電気にする場合は、その限りではありません。
なおガスのエネルギーで動いている機器のうち代表的なものは、キッチンのコンロやお風呂の給湯器などです。
床暖房を取り入れているご家庭は、ガスや灯油式の機器から、電気式の機器に切り替えるのもよいでしょう。
ここからは、ガスから電気に移行するためにかかるコストの目安を、IHクッキングヒーターと床暖房、エコキュートの3つに分けてご紹介します。
オール電化に伴いかかるコストの代表が、ガスコンロからIHクッキングヒーターへの入れ替え費用です。
費用は機器のグレードや工事業者によっても異なりますが、約10万〜40万円と考えておくとよいでしょう。
IHクッキングヒーターはガスコンロと違って凹凸がなく、フライパンや鍋を火にかけるときに安定させやすいのが魅力です。
また拭き掃除がしやすいほか、火を使わないためお子さまのいるご家庭でも取り入れやすいでしょう。
床暖房をガスから電気に移行する場合、電気の力で温めるヒートポンプタイプなどへの切り替えが求められます。
オール電化でないご家庭の床暖房は、ガスや灯油をエネルギーとするガス温水式タイプが主なためです。
床暖房のガスから電気への移行も機器のグレードや工事業者によってコストの差はありますが、ガス温水式床暖房から電気ヒートポンプ式床暖房へ切り替える場合、120万円前後が相場です。
高額になる理由は、切り替えのために床の張替えや断熱工事、配管工事なども必要になるためです。
なお、床の工事費用は床面積が大きいほど高くなる傾向にあります。
ただし既存の設備によっては、床工事が不要となり、コストを抑えられるケースもあります。
より正確な費用を確認するためには、複数の業者から具体的な見積もりを取るとよいでしょう。
電気を使ってお湯を作り出すエコキュートへの切り替えも、ほかの機器と同様、機器の購入費用と設置・工事費用がそれぞれかかり、費用の相場は約40〜100万円です。
電気給湯器には、いわゆるエコキュートと電気ヒーターの力でお湯を沸かす電気温水器の2種類があります。
オール電化住宅では、よりランニングコストを抑えられる、自然冷媒ヒートポンプ式のエコキュートを導入するケースが一般的です。
一定の費用がかかるものの、エコキュートは一般的なガス給湯器と違い、タンク内にお湯を貯蓄しておく仕組みになっています。
日々の生活用水はもちろん、非常時の蓄えにもなる点はメリットといえるでしょう。
オール電化にしたい、もしくはオール電化にしたからこそ、電気代を節約したい、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、オール電化での電気代を節約するコツをご紹介いたします。
一つひとつを意識し、電気代を削減させましょう。
オール電化住宅で電気代の節約をはかるのであれば、電化製品の使用を夜に集中させるのが、電気代削減への第一歩です。
例えば、風呂や調理、暖房器具といった電気代のかかるものは、夜に使用するように心がけましょう。
また、タイマーなどを活用するのも効果的です。
洗濯機や食洗機など、タイマーがかけられる機種であれば、夜のうちに稼働するように設定しておくことで、電化製品の稼働を昼間ではなく夜に集中させることができます。
エコキュートは夜間にまとめてお湯を沸かせる点が便利ですが、沸かす量や温度を調整することも大事な節約ポイントになります。
例えば、それほどお湯を使わないのに多くの量を高温で沸かすように設定しておくと、無駄が生じることに。
逆に、日中にお湯が切れてしまうほど沸かす量を少なく設定してしまうと、電気代のかかる昼間に追加でお湯を沸かさなければいけなくなり、電気代がかかってしまいます。
1日の中で、どの時間帯にどのくらいお湯を使うのかを把握し、エコキュートの設定を見直しましょう。
エコキュートを使った蓄熱暖房機も、蓄熱量が少なくなると、日中に追い炊きしてしまう可能性があります。
気温などに合わせて、最適な熱量にセットできるよう心がけましょう。
また、外出が短時間の場合は、蓄熱暖房機は切らず、蓄熱量だけを下げるようセットしてください。
一度切ってしまうと、再起動の際に消費する電力が多くなってしまい、上手に節電することができません。
調理器具にも気を配ることで、オール電化の電気代節約に繋がります。
例えば、IHクッキングヒーターはフラットですから、底が平らなフライパンや鍋を使うことで、熱が伝わりやすくスムーズに調理ができます。
調理時間を短縮できる圧力鍋なども、節電に繋がるでしょう。
入浴の際、湯船のお湯を温める場合は、追い炊きではなく高温足し湯を利用すると省エネになります。
追い炊きはぬるくなったお湯を循環させて、貯湯タンク内の熱を使うことで温め直しているため、その分タンク内の熱がなくなってしまうのです。
その点、高温足し湯はタンク内の熱いお湯をそのまま足すので節電に繋がります。
基本に立ち返った話になりますが、電気料金プランを見直すのも、オール電化住宅で電気代を節約するためのポイントになります。
オール電化の場合には、夜間に蓄熱暖房機やエコキュートが自動で稼働するため、夜間の電気代が安くなるプランを選択するのがセオリーです。
ただし、日中ほとんど家にいるという方は、こういったプランだと電気代が高くなってしまいます。
ご家庭のライフスタイルを参考に、オール電化で節約できるプランを選択しましょう。
オール電化は、ガスによって発生しうるリスクがない上、キッチンなどをスタイリッシュにできるため、年々、人気が増している傾向にあります。
ただし、ご家庭で使用するエネルギーをすべて電気でまかなうため、電気代が気になってしまうのは当然のこと。
そのため、エコキュートの設定を見直したり、電気を使う時間帯を考慮したりと、工夫が必要になってきます。
ほかにも、現在契約している電力会社や電気プランを検討し直すことで、ご家庭の電気代節約につながるでしょう。
電力会社や電気料金プランを見直す際は、多くの会社を比較したり、シミュレーションで実際にどのくらいの電気代になるのかをある程度把握することが大切です。
また、オール電化のように使用する電力が多いご家庭、もしくは電気代+ガス料金のご家庭でも今回ご紹介したオール電化の1カ月平均電気代よりも毎月の光熱費がかかってしまっているのであれば、たくさん使う方ほどお得になる「超TERASELでんきプラン」がおすすめです。
従来と同じ送配電網を活用するため、電気の品質が落ちることもありませんし、停電が起きやすくなるといったリスクもありません。
ご家庭の契約プランを見直したいとお考えの方は、ぜひ、「超TERASELでんきプラン」も選択肢のひとつに入れてみてください。
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