投稿日:2021/12/24
更新日:2024/09/03
でんきの節約術
「暖房」と聞くと、多くの方がエアコンの暖房を連想するかと思います。こたつや電気カーペットなどと比べると、エアコンは部屋全体を暖めることができるため、ご家庭に導入されている方も多いことでしょう。
日本には四季があり、冬は立秋~立春までとされていますが、実際には10月後半~4月中あたりまでは寒い時期が続き、エアコンの暖房の稼働率も上がります。5、6カ月はエアコンの暖房が必要になるため、電気代が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1年のうち、活躍する機会の多いエアコンの暖房ですから、しっかりと電気代を把握しておきたいですよね。
そこで今回の記事では、エアコンの暖房の電気代のご紹介や他の暖房器具の電気代との比較、エアコンの暖房の電気代を節約する方法まで、詳しくご紹介いたします。エアコンの暖房をよく使うけど、電気代を削減したい、と考えている方は、ぜひ参考になさってください。
なお、本記事の情報は2024年8月時点での情報になります。最新の情報は各公式ページをご参考ください。
目次
導入されているご家庭も多いエアコン。その暖房の電気代、気になりますよね。
稼働する期間が長いエアコンの暖房ですから、しっかりと電気代を把握しておきたいところです。
そこでまずは、エアコンの暖房にかかる電気代の計算方法をご紹介いたします。冷房と比べた時にどちらの電気代が高くなるのかも併せて解説いたしますので、確認していきましょう。
エアコンの暖房を、例えば1時間稼働させた時の電気代を、実際に計算してみます。エアコンの電気代は
「1kWhあたりの電気代単価(円/kWh)」と「消費電力(kW)」で算出。
エアコンの消費電力については、製品のカタログや取扱説明書に記載されているため、事前に確認しておくと良いでしょう。
少し話がそれましたが、エアコンの1時間あたりの電気代を求める方法は、「消費電力(kW)×1kWhあたりの電気代単価(円/kWh)」です。
今回は新電力料金目安単価「27円/kWh」で計算することにします。(※1)
エアコンの暖房の消費電力が、パナソニックのCS-LX282Dを例に挙げて690Wだったとしましょう。(※2)計算しやすいようにkWに変換し、以下のように、1時間あたりの電気代を算出することができます。
0.69kW×27円kWh=18.63円
1カ月あたりの電気代も知りたい場合は、1日あたりに稼働させる時間と、1カ月の中で稼働させる日数を18.63円にかけることで導き出すことができるので、ぜひ試してみてください。
例えば1日の稼働時間が6時間、月の稼働日数が20日間だった場合は月の電気代が、
18.63円 × 6時間 × 20日 = 2235.6円(➀)
となり、年間の電気代は26,827.2円(➀×12ヶ月)となります。
1出典:「電気代の目安単価」の改訂に関する件|公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会
https://www.eftc.or.jp/qa/qa_pdf.pdf
2出典:2022年モデル LXシリーズ|エアコン|Panasonic
https://panasonic.jp/aircon/products/22lx.html#spec
エアコンはエアコンでも、冷房と暖房ではどちらが高くなるの?と疑問の方も多いでしょう。結論から言うと、暖房のほうが電気代が高くなる傾向にあります。
その理由は、「設定温度」にあるのです。環境省によると、エアコンの設定温度は、夏は28℃、冬は20℃が推奨とされています。
(※)こちらの設定温度で具体例を挙げて比較していきましょう。
例えば、気温が真夏日(30℃)で、設定温度が28℃だった場合、外気温と設定温度の差は2℃です。一方、基本が真冬日(0℃)で、設定温度が20℃だった場合、その差は20℃。
エアコンははやく設定温度に近づけようとして電力を消費するため、室温を変化させなければいけない幅が大きい冬のほうが、電気代がかかってしまうのです。
出典:令和3年度「クールビズ」について|環境省
https://www.env.go.jp/press/109505-print.html
出典:令和2年度「ウォームビズ」について|環境省
https://www.env.go.jp/press/108577.html
環境省が推奨している暖房の設定温度は20℃ですが、それでは寒いと感じる方、逆に暑いと感じる方もいます。例えば、就寝時の暖房の設定温度は16℃~21℃が良いという見解もあるようです。
設定温度を環境省が推奨しているものよりも下げられるのであれば電気代の削減に繋がりますが、寒くて寝つけない…ということになっては元も子もないので、極論、適温は人それぞれ。
推奨温度から大きく離れすぎない程度に、暑すぎれば設定温度を下げ、寒すぎれば設定温度を適宜上げて、快適な空間を保ちましょう。
暖房の電気代を気にする方は、こまめに切るのとつけっぱなしにするのとで、どちらのほうがお得かを考える場合も多いでしょう。
エアコンは部屋の温度を上昇させる時に一気に電力を使うため、オンオフをこまめに行うと、かえって電気代がかかってしまう場合があります。
では、どういった時にどのような対応をすれば良いのでしょうか。場面ごとに、おすすめのエアコン活用法をご紹介いたします。
1時間以内のちょっとした外出であれば、暖房はつけっぱなしのほうが良いでしょう。冬場はエアコンを切ってしまうと室温が急激に下がってしまうため、再び室温を設定温度に戻すために大きなエネルギーを消費するのです。そのため、ちょっとした外出であれば、暖房は切らないことをおすすめします。
数時間~半日程度外出するのであれば、暖房のスイッチは切ったほうが良いでしょう。頻繁にオンオフすることは電気代の上昇に繋がりますが、長時間の外出であれば、そもそも電力を使わないようにしたほうが電気代を節約できます。
週末など、1日中家ですごす場合は、暖房をつけっぱなしにしておきましょう。そもそも家にいるのに暖房の電源を切る発想にはなかなかならないかと思いますが、先述の通り、オンオフを繰り返すと、電気代がかかってしまいます。長時間の外出は切り、短時間の外出や長時間家にいる時はつけっぱなしにするということを覚えておきましょう。
夏場よりも冬場のほうが電気代がかかるエアコン。
他の暖房器具と電気代を比較した場合は、どういった位置づけになるのでしょうか。
ここからは、こたつ・電気カーペット・ファンヒーター・電気毛布の電気代をご紹介いたします。エアコンの暖房と比較し、使い分けすることで電気代の節約につながるかもしれませんので、参考にしてみてください。
こたつは暖房器具の中でも電気代が安いのが特徴です。消費電力が300Wのこたつを1時間使用しても、8円程度の電気代で済みます。(※)
0.30kW×27円kWh=8.1円
エアコンの暖房の消費電力が650Wだった場合、先述のとおり1時間あたりの電気代は17.55円となりますので、こたつのほうがかなり電気代の節約になります。真冬の場合は部屋全体が暖かくないと辛いことも多いですが、それほど寒さが厳しくない日は、エアコンの暖房を一旦止め、こたつだけで過ごすのも良いかもしれません。
電気カーペットも大きさによりますが、電気代が比較的安い暖房器具のひとつです。例えば2畳ほどの大きさの電気カーペットを「中」で使用した場合の消費電力は230W。(※)これを1時間使用した際の電気代は、6.21円となります。
0.23kW×27円kWh=6.21円
「高」で使用した場合は消費電力が315Wであるため、こたつよりも少し高めの電気代になります。足元が温まるだけでもだいぶ違うため、こちらも真冬を外した時期にエアコン代わりに使うと、電気代の節約になるでしょう。
出典:着せ替えカーペット セットタイプ DC-2HAB10 2畳相当 詳細(スペック) | 電気カーペット | Panasonic
https://panasonic.jp/danbo/p-db/DC-2HAB10_spec.html
ファンヒーターといってもさまざまなタイプのものが存在しますが、代表的なのは「セラミックファンヒーター」です。セラミックファンヒーターも大きさによっては部屋全体を暖めることができます。
消費電力は「強」で使用した場合、1200W程度。(※)1時間使用した際の電気代は、
1.2kW×27円kWh=32.4円
となります。
エアコンは電気代がかかるから頻繁に使用するのは避けたい……でも部屋全体を暖かくしたい、という場合は、エアコンよりも3円弱電気代の安いファンヒーターを使用すると良いかもしれません。
出典: HX-PK12 | プラズマクラスター電気暖房機|シャープ
電気毛布とエアコンの暖房を比較するとどうでしょうか。例えば、「強」で使用したときの1時間あたりの消費電力が56Wの電気毛布で計算してみましょう。(※)
0.056kW×27円kWh=1.512円
1時間あたりの電気代が17.55円であるエアコンの暖房と比べると、かなり安いことがわかります。また、他の暖房器具と比較しても、電気毛布の電気代が一番安いことがわかりました。同時に、エアコンの暖房が一番電気代がかかるということもおわかりいただけたかと思います。
出典:電気かけしき毛布(シングルMsaizu )DB-RP1M 取扱説明書 | 電気毛布 | Panasonic
https://panasonic.jp/danbo/p-db/DB-RP1M_manualdl.html
他の暖房器具に比べると、エアコンの電気代は高めなことがわかりました。
ただ、電気代がかかるとはわかっていつつも、「スピーディーに部屋を暖めたい」「身体の一部だけではなく、部屋全体を暖めたい」と考える方も多いことでしょう。
そこでここからは、エアコンの暖房料金をなるべく節約するためのコツをご紹介いたします。基本的なことから、あまり知られていないことまでご紹介するので、ぜひ、家計見直しの参考にしてみてください。
エアコンを定期的に掃除することは、電気代を節約するための第一歩です。エアコンのフィルターが目詰まりを起こしていると、効率的に稼働することができなくなり、エアコンが無駄なエネルギーを消費してしまいます。その結果、電気代が跳ね上がることも。
フィルターの掃除は、一見面倒なようで意外と簡単です。エアコンの電源をオフにして、フィルターを外し、まずは表面のホコリを掃除機で吸い取ります。そのあと、フィルターをよく水洗いし、陰干しにて完全に乾かしたら、掃除はおわりです。
フィルターの掃除は2週間に1回を目安に行うと良いとされているため、ぜひ実践してみてください。
エアコンのフィルターを掃除するとともに、室外機周辺の掃除も行いましょう。室外機の吹き出し口の前に植木鉢などの物が置かれていると、外気をうまく取り込めず、無駄に電力を消費してしまうことになります。室外機のまわりに、稼働の妨げになるようなものがないか、今一度チェックしてみてください。
また、室外機の周辺だけでなく、室外機自体にゴミやホコリが詰まっていると運転効率が落ちてしまう場合もあるため、こちらも定期的にチェックし、汚れがひどい場合は業者などに清掃を依頼するようにしましょう。
エアコンを自動運転モードにすることも、電気代の節約に繋がります。自動運転よりも「弱風」や「微風」のほうが電気代を抑えられるのでは…とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、弱風や微風の場合、設定温度になるまでに時間がかかってしまい、その分、電力を消費してしまうのです。
自動運転にすれば、スイッチを入れた時に短時間で室温を設定温度まで近づけてくれて、そのあとは自動で弱風に切り替えてくれるため、効率的にエアコンを使用することができます。
また、窓に断熱シートを貼ることも、電気代の節約にはおすすめです。冬の冷えた空気をシャットアウトしやすくなり、暖かい部屋の空気も逃がしません。ガラス1枚の窓では熱を外に逃がし、外の寒い空気を取り入れやすくなってしまうため、こうした加工をすることによって、電気代を抑えることができます。
カーテンを厚手にする対策と同時に行うと、保温効果が上がっておすすめです。ちなみに、断熱材はネットなどで手軽に手に入れることができます。
基本的なことではありますが、寒い時には着込むことも大事です。冬とはいえ、部屋の中だからといってTシャツなどで過ごしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで暖房の設定温度を上げるのではなく、長袖や温かいフリース素材の服に着替えることで、消費電力を上昇させずに済みます。
寝る時は冬でもあまり厚着をしないという方も多いですが、寒さを感じると寝つきが悪くなってしまうため、適度に着込むようにしましょう。特に足元が冷えると入眠の妨げになりやすいので、ゆるめの柔らかい靴下などで、足元の暖を取るようにしてください。
寝る前に一時的に体をホカホカさせたい、などの場合は、温かいスープなどを飲んで胃を温めるのも良いでしょう。寝る前に体が温まった上で、先述したように適度に着込んで布団に入れば、眠りやすくなる上、無駄に暖房の設定温度を上げずに済みます。寝ている間に暖房の設定温度を上げたり、風量を強にしたりすると、脱水に陥ったり、朝目覚めた時に喉がガラガラになってしまったりすることが考えられるため、節電の観点からも、健康の観点からも、設定温度を上げる以外の方法で体を温めることをおすすめします。
電気の契約プランの見直しや、電力会社変更も、節電に大きな効果をもたらす可能性があります。
今よりも安い電力会社であれば、電化製品にかかる基本料金を安く抑えることができるでしょう。電力会社によって価格や用意されているプランが異なりますので、気になる電力会社を見つけたら、電気代のシミュレーションを行ってみてください。1社ではなく、複数社でシミュレーションを行うことで、ご家庭のライフスタイルに合った会社、プランを見つけることができるでしょう。
最後に、エアコンと組み合わせることで相乗効果が期待できる電化製品を4つご紹介します。
部屋の状況に適したものを取り入れることで暖房効率が上がり、結果的に電気代の節約にもつながるでしょう。それぞれの詳細は以下の通りです。
エアコンと相性の良い電化製品として真っ先に挙げられるのが、サーキュレーターです。
室内の暖められた空気は上のほうにたまりやすい性質を持っているため、エアコンだけで室内を温めようと思うと、どうしても足元の空気の温度が下がりやすいです。そこでサーキュレーターで室内の空気を循環させると、室内の温度を均一にする効果が期待できます。足元だけが寒くて冷え性が悪化したり、顔回りの温度が高くなってぼーっとしたりするのを防げるでしょう。
またエアコンとサーキュレーターを併用すると、暖房効率のアップにもつながります。暖かい空気が上にたまらなくなることで、エアコン単体で稼働させたときよりも吸い込む空気の温度が低くなり、温めて排出する効果が高まるのです。
しっかりと空気を循環させるためには、エアコンの対角に当たる部屋の隅にサーキュレーターを置き、風向きが上になるように調整するのがポイントです。
エアコンと併用するなら、セラミックファンヒーターもおすすめです。セラミックファンヒーターは周辺の空気を暖めるスピードが速い傾向にあるため、帰宅直後や他の部屋から移動してきたときなど「今すぐ体を暖めたい」というときに適しています。小ぶりで移動させやすいサイズの製品も多いため、ピンポイントで暖めたい場所に温風を送ることが可能です。
エアコンの暖房のみで室内の温度を上げる場合、設定温度に達するまでには一定の時間がかかるでしょう。セラミックファンヒーターと組み合わせることで、部屋が温まるまでの時間が快適になる上、室内が暖まるまでの時間の短縮にもなります。窓の付近など、冷たい空気のたまりやすい場所で使用すると効果的です。
なおセラミックファンヒーターは、一般的に電気代がかかりやすい電化製品です。消費電力が大きいため、長時間使用し続けていると、その分電気代もかさむと考えられます。節約を意識するのであれば、部屋が暖まってきたらスイッチを切るようにするなど、使い方に気をつけてください。
リビングなどのくつろげる空間では、エアコンとこたつを組み合わせるのも良いでしょう。
先述の通り冷たい空気は足元にたまりやすいため、エアコンだけでは空間の下のほうを暖めるのに時間がかかってしまいます。こたつを活用すると、足先から下半身全体までしっかりと暖めることが可能です。体感温度も高くなるので、部屋全体の温度をそこまで上げずとも、快適に過ごせるようになるでしょう。風が出るわけではないため、空気を乾燥させない肌に優しい暖房器具でもあります。
またこたつは、どちらかと言えば電気代がかからない傾向にある電化製品です。そのため長時間使用しても、電気代が跳ね上がるようなことは考えづらいです。電気代をあまり気にせずつけっぱなしにできる点は、こたつの大きな魅力と言えます。ただし、ついこたつでうたた寝をしてしまって、風邪をひくようなことがないように注意してください。
室内に風を送るエアコンは、乾燥を助長しやすいです。そこで加湿器と組み合わせ、湿度を一定に保ちながら使用すると、エアコンの「乾燥」というデメリットを打ち消す効果が期待できます。体感温度が高まるのはもちろん汗の蒸発を防ぐことにもつながり、実際の体温も下がりづらくなるでしょう。
エアコンと加湿器を組み合わせる際は、部屋のなるべく中央付近、かつ、エアコンの真下に当たる位置に加湿器を置くと効果的です。加湿器から発された水分を含んだ空気がエアコンの送風によって循環し、効率良く室内の湿度を高められます。
エアコンの暖房は、冬場、欠かせないものと言っても過言ではありません。ただし、1年間で使用する期間が長い上に、冷房よりも電気代がかかってしまうことは事実です。そのため、今回ご紹介したような、フィルターや室外機の掃除であったり、窓に断熱シートを貼るであったりの気配りや工夫が必要になります。
ほかにも、現在契約している電力会社や料金プランを見直すことで、ご家庭の電気代を抑えることができるでしょう。
特に、電力小売自由化が成されてから登場した、新電力を扱う電力会社では、従来のプランよりも電気代がお得になるプランが多く用意されている傾向にあります。
例えば、ご家庭で使う電化製品はエアコンのみではないはずですので、電気をたくさん使う方ほどお得になるTERASELでんきの「超TERASELでんきプラン」はおすすめです。
その月のお得額は、これまでの電気代と比べて4~5人世帯の場合、約1,108円。(※1)年間で12万円以上お得になります。また、従来と同じ送配電網を使用するため、電気の品質低下や停電リスク上昇といった心配がいらない上、東京電力従量電灯Bで契約している場合と比べると、ひと月で300kWh使った場合は年間4,632円、500kWhであれば年間16,272円、700kWhなら年間27,912円お得に。(※2)
ご家庭の電気代の見直しをお考えの方は、ぜひ、「超TERASELでんきプラン」でシミュレーションを行ってみてください。
関連記事
Q
エアコンの電気代はいくらかかる?
Q
エアコンをつけっぱなしは電気代がいくらかかる?
Q
暖房と冷房どちらが電気代かかる?
人気の検索キーワード