投稿日:2022/01/20
更新日:2024/09/03
でんきの節約術
パネルヒーターは電熱線をパネルに挟んだ暖房機器です。空気を汚さない、火事の危険性が少ないというメリットがある一方、電気代が高いというイメージがあります。「パネルヒーターの購入を考えてはいても、電気代が高いイメージがあり購入を迷っている」という方もいるでしょう。
この記事では、パネルヒーターの電気代は本当に高いのか、安くする工夫はあるのかなどを解説します。パネルヒーターの購入を迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、本記事の情報は2024年8月時点での情報になります。
最新の情報は各公式ページをご参考ください。
目次
パネルヒーターによって空間が暖まる仕組みは、大きく以下の2パターンに分けられます。
熱源に直接触れていなくても空間に伝わる熱を「ふく射熱」、空気の循環によって伝わる熱を「対流熱」といいます。パネルヒーターは、2つの熱の相互作用により周囲の空気を効率良く暖められる暖房機器です。
パネルヒーターは大きく分けて人用とペット用の2種類があります。パネルヒーターは空気を汚さず火事の危険性が低いので、ペットにも安心して使うことができるのです。では、2つの違いは何があるのでしょうか?ここでは、人用、ペット用のパネルヒーターの違いを詳しく解説していきます。どのような特徴があるのでしょうか?
人用のパネルヒーターは、一般的なパネルヒーターのことです。セントラルヒーティングの家に使われるような大きなものから、小型で持ち運びができるものまで複数の種類があります。また、現在のパネルヒーターは自立型だけでなく机の裏面に貼りつけるタイプなどもあるので、使い勝手が格段によくなっています。
パネルヒーターは製品によってはスイッチを入れてすぐに暖まりはじめ、体のすぐそばにおいておけば、数分で温かさを感じられるでしょう。
電源を切ってもパネルが冷めるまで時間がかかるのでしばらく暖かさが持続します。
また、現行の製品はほとんどがタイマー付きです。サーモスタットがついていて、温度が上がりすぎると自動的にスイッチが切れる製品もあります。そのため寝る時に寝室で使用していても安全です。
子ども部屋や高齢者の部屋の暖房にも適しています。その点ではエアコンに似ていますが、エアコンほど高速に部屋全体を暖めることはできません。暖かくなる範囲は限られています。
ペット用のパネルヒーターも基本的な仕組みは人用と変わりありません。ただ、設定温度が低めになっている製品もあります。そのため、電気代は人用のパネルヒーターよりもかからないものが大半です。寒さに弱いペットの冬対策に用いられることが多く、小型哺乳類用、鳥類用、は虫類用などがあります。犬や猫などの大きめの哺乳類は、人用の小型パネルヒーターを使ってもいいでしょう。
なお、それぞれの動物用のものを別の動物に使わないことも重要です。例えば、は虫類用のペット用パネルヒーターを鳥類に使ってはいけません。思わぬ事故が起こる可能性があります。
パネルヒーターは電気代が高いというイメージがあります。では、実際はどうなのでしょうか?ここでは、パネルヒーターの電気代を計算する方法を詳しく解説していきます。
計算式を確認する前に、まずはおおまかな電気代の相場を把握しておきましょう。
比較的大きなサイズとなる8畳程度の部屋で使えるパネルヒーターの場合、消費電力は600W~1,200Wが目安です。弱いパワーで使用していれば、消費電力はさらに低くなります。
パワーを弱・中・強の3段階で設定でき、それぞれの消費電力を400W、600W、1200Wと仮定すると、その製品の1時間当たりの想定電気代は以下の通りです。
パワー | 消費電力 | 1時間当たりの想定電気代 |
---|---|---|
弱 | 400W | 10.8円 |
中 | 600W | 16.2円 |
強 | 1200W | 32.4円 |
毎日8時間使用したとすると、1カ月の電気代相場は、2,500~8,000円です。
トイレなどで使用するのに便利な、小型のパネルヒーターの場合もみておきましょう。消費電力の目安は、160~320Wです。
パワーを弱・強の2段階で設定でき、それぞれの消費電力を160W、320Wと仮定すると、その製品の1時間当たりの想定電気代は以下の通りです。
パワー | 消費電力 | 1時間当たりの想定電気代 |
---|---|---|
弱 | 160W | 4.3円 |
強 | 320W | 8.6円 |
毎日8時間使用したとすると、1カ月の電気代相場は、1,000~2,100円です。
パネルヒーターに関わらず電化製品の電気代は以下のような計算式で出すことができます。
「消費電力(W)」÷1,000×「1日の使用時間(時間)」×「1kWhあたりの電力量料金(円/kWh)」
1kWhあたりの電力量料金は電力会社によって異なりますが、この記事では全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電力料金の目安単価「27円/kWh(※)」を使って計算します。
消費電力が分かれば、時間あたりの電気代の目安が分かるでしょう。なお、この計算は正確な電気代を出すものではありません。あくまで目安と考えてください。
出典:全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価改定に関する件」
https://www.eftc.or.jp/qa/qa_pdf.pdf
パネルヒーターの電気代が分かれば、他の暖房機器との比較も可能です。ここでは、パネルヒーター、石油ファンヒーター、オイルヒーターの3種類の電気代を、1時間、1日、1カ月で比較してみましょう。なお、消費電力は電化製品の取扱説明書に載っています。なお、1日は8時間連続使用、1カ月は1日8時間使用を30日間続けたとして計算しました。
今回はトヨトミ社制の消費電力1,200Wのパネルヒーターを例に計算してみました。
1時間 | 1日 | 1カ月 |
---|---|---|
27円 | 259.2円 | 7,776円 |
1カ月の電気代は約8,000円ですが、諸費電力のことを考えるとエアコンと同じくらいです。また、パネルヒーターは温度調節が可能です。一度部屋が暖まれば設定温度を下げることで消費電力を抑えることができます。
出典:トヨトミ「型式EPH-123F 取扱説明書」
https://www.toyotomi.jp/manual/operation/EPH-123F.pdf
出典:ダイキン「S36YTVXS-W」
https://www.daikinaircon.com/roomaircon/products/v_series/index.html
オイルヒーターはパネルヒーターとよく似た暖房機器です。電熱線の代わりに難燃性のオイルが入っており、それを熱することで輻射熱を発生させて部屋を暖めます。オイルヒーターの消費電力は600W~1,200Wが相場です。
今回はアイリスオーヤマ社のオイルヒーターを例に計算してみます。3段階に出力が調節でき、弱が500W、中が700W、強が1,200Wとされるタイプです。
1時間 | 1日 | 1カ月 | |
---|---|---|---|
500W | 13.5円 | 108円 | 3,240円 |
700W | 18.9円 | 151.2円 | 4,530円 |
1,200W | 27円 | 259.2円 | 7,776円 |
比べて見ると、弱にすれば電気代はパネルヒーターより安いですが、強にすればほぼ一緒になります。
出典:アイリスオーヤマ「オイルヒーター取扱説明書」
https://www.irisohyama.co.jp/products/manual/pdf/568915.pdf
石油ファンヒーターは、灯油を燃料とする暖房器具です。着火や温度調節に電気を使いますが、消費電力はほかの電化製品に比べると少なめとなっています。
エアコンよりも強力に手早く部屋の中を暖めることができるので、寒冷地などではよく使われる暖房機器です。この記事では、ダイニチの13畳用の石油ファンヒーターの消費電力を例に計算して見ました。
1時間 | 1日 | 1カ月 | |
---|---|---|---|
最大 129W | 3.4円 | 27.9円 | 837円 |
最小 62W | 1.7円 | 13.6円 | 408円 |
これだけ見ると最も消費電力は少ないように思えますが、このほかに灯油代がかかります。また、着火時に必要な電力が390wかかります。そのためこれ以外に灯油代も計算しなければ正確にパネルヒーターと比べることはできません。
出典:ダイニチ:製品情報
https://www.dainichi-net.co.jp/products/fanheater/lineup/slx2018/
消費電力と使用する時間の長さが同等であれば、理論上、各機器を使用するのにかかる電気代は同額です。そのためパネルヒーターの電気代が高いと感じる主な理由は、パネルヒーターが比較的消費電力の多い暖房器具であるという点にあります。
さらにパネルヒーターの電気代が高くなってしまうのには、複数の理由が考えられます。使い方によっては、大幅に電気代がかさむようなケースもあるでしょう。
第一に考えられるのは、電源を消し忘れ、付けっぱなしにすることです。パネルヒーターは運転音が目立たない他、送風なども行わない暖房機器のため、うっかり消し忘れることもあるかもしれません。付けっぱなしの状態が長時間続くことで電気代が積み重なり、高額になってしまうのです。
また設定温度の変更が可能なパネルヒーターの場合、設定温度を高くし過ぎることにより、電気代が跳ね上がってしまう可能性があります。設定温度が高いということはその分パワーを強くしなければならず、消費する電力が増えることが原因です。
なおパネルヒーターによって無理に広範囲を暖めようとした場合も、電気代が高くなってしまう可能性があります。使用するパネルヒーターにもよりますが、適用範囲に対して部屋の大きさが広過ぎるようであれば、部屋全体を暖めるのには向いていません。例えば小型のパネルヒーターでリビングなどを全体的に暖めようとすると、高いパワーで使用する状態が続き、電気代は高くなると考えられます。
電気代以外にパネルヒーターにはいろいろなメリットがあります。ここでは、代表的な6つのメリットを紹介します。パネルヒーターとほかの暖房機器とを迷っている人は、メリットを参考にしてください。
パネルヒーターは電熱線を暖めて発熱させますが、火事のリスクは極めて低くなっています。たとえパネルヒーターを倒してしまっても。安全装置が働いて電熱線への電気の供給が止まります。
そのため高齢者や子ども向けの暖房器具として便利です。また狭い部屋に置いておき、うっかり倒してしまった場合も大丈夫なのでトイレや脱衣所にも置きやすいでしょう。
パネルヒーターの表面温度は40度~44度と体温より少し高い程度です。そのためうっかり触っても火傷しにくくなっています。
ただし絶対に火傷しないわけではありません。長時間表面に触れていると低温火傷をする可能性があります。しかし石油ファンヒーターのように周りを柵で囲む必要はなく、赤ちゃんのいる部屋の暖房器具にもおすすめです。
輻射熱で部屋を暖めるパネルヒーターは部屋の空気をクリーンに保ちます石油ストーブのように燃焼で空気を汚すこともなければ、エアコンのように部屋のホコリを舞い上げることもありません。換気を頻繁に行えない部屋でも安心して使うことができます。
例えば、冬のトイレは寒いので暖房を入れたいという場合でも、パネルヒーターならば快適に使うことができるでしょう。換気の必要もないので、窓のない部屋でも安心して使うことができます。
暖房機器の多くは使っているうちに空気が乾燥していきます。特に、石油ファンヒーターやエアコンにその傾向があります。空気が乾燥すると鼻や喉の粘膜が傷み、風邪を引きやすくなるでしょう。
特に就寝中の空気の乾燥は体調を崩す原因になりがちです。パネルヒーターは空気が乾燥しにくいので長時間使っても体に負担がかかりにくいメリットがあります。特に、喉や鼻の粘膜が弱い人や仕事で声を使う人には空気が乾燥しにくい暖房器具は良いでしょう。
パネルヒーターは運転中に作動音がほとんどしません。そのため録音が必要な場所など余計な雑音が入っては仕事にならないところでも安心して使うことができます。
また、音に敏感な赤ちゃんや高齢者、さらに音が気になりだすと眠りが浅くなるという人にはぴったりの暖房器具です。
小型のパネルヒーターの重さは数キロです。そのため女性ひとりの力でも軽々と運ぶことができます。人の移動と一緒に暖房機器も移動したいという場合はとても便利です。
特に1人暮らしで複数の部屋がある家に住んでいる場合は、部屋ごとに暖房をつけるより暖房機器を持って移動したほうが効率的です。トイレ、脱衣所などにも持ち歩ければ、家中を効果的に暖めることができるでしょう。
しかし、パネルヒーターにはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、代表的なデメリットを3つ紹介します。メリットとデメリットを両方知ることができれば、パネルヒーターと他の暖房機器の比較もしやすいでしょう。
パネルヒーターは暖まるまでに時間がかかります。最新の製品は大分早くなりましたが、それでもエアコンや石油ファンヒーターに比べれば暖まるまでに時間がかかるでしょう。部屋を暖めるためには時間がかかれば、それだけ費用もかかります。
部屋を使うのは1時間だけなのにパネルヒーターは2時間つけなければならなかったとしたら、効率も悪くなります。部屋が広いほど暖まるまでに時間もかかるでしょう。
輻射熱では部屋全体は暖まりません。せいぜい足元や自分の周りを暖める程度です。空間全体を暖めようと思えば、セントラルヒーティングのように家全体に巨大なパネルヒーターを付ける必要があります。
トイレや脱衣所のような狭い空間でも、部屋全体を暖めるのは難しいでしょう。寒冷地では、単体で使用するのは厳しいものがあります。そのためエアコンなどの併用が必須になるでしょう。
パネルヒーターの暖房力は決して強いとはいえません。しかし、「強」にして使った場合の消費電力はエアコン並にかかります。そのため、付けっぱなしにして使えば電気代はかなりかかることになります。
特に寝る前の電源の落とし忘れなどによるつけっぱなしが起こってしまうと、電気代はかなり増えてしまうことに。
パネルヒーターは一時的に使う方法をとり、他の暖房器具との併用を考えた方が電気代を節約することができます。
パネルヒーターはメリットも大きいですが、やはり電気代はほかの暖房機器に比べるとかかります。では、どうすればパネルヒーターにかかる電気代を節約することができるのでしょうか。ここでは、その方法の一例を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
パネルヒーターには温度設定ができる製品もあります。メインの暖房器具としてパネルヒーターを使いたい場合は、温度設定が可能な製品を購入し、「弱」モードにして使いましょう。1,200Wの消費電力で使い続ければ1時間に260円近い費用がかかりますが、700Wならば151円くらいの電気代ですみます。1日使えば500円以上の差が出るでしょう。
温度計も設定し、こまめに温度調節をすれば、電気代を節約できることでしょう。大型で強力なパネルヒーターほど温度設定は効果的です。
うっかりスイッチを切り忘れることが多い場合は、タイマーを設定する癖をつけましょう。パネルヒーターのタイマーは、3時間、6時間と長時間設定できる製品も多いので、睡眠中にも使うことができます。
また冷えてきたら再度スイッチを入れるようにしましょう。タイマーを使いこなせば、誰もいない部屋を暖め続けていたということも防げます。
ただし、タイマーは万能ではないので出かける際は必ずスイッチを切りましょう。
窓際は最も冷たい空気が溜まりやすい場所です。パネルヒーターの本場であるヨーロッパは、常に窓下にヒーターを置いて窓下を暖めることで、効果的に暖房を効かすそうです。日本も断熱窓にしない限り、窓下の空気は冷えやすいので、この方法は効果的です。
なお、結露ができないように気をつけましょう。大型のパネルヒーターほど窓際に置くのが効果的です。
窓がない部屋の場合はドアの前に置きましょう。隙間風を暖めれば効率的に暖房を効かすことができるはずです。
エアコンは効果的に部屋を暖めることができる暖房器具です。しかし、暖かい空気は部屋の天井へ溜まりやすいので、足元を暖めるのが苦手というデメリットがあります。特に、広い部屋ほど足元に冷たい空気が溜まりやすいでしょう。
そこで足元をパネルヒーターであたため、部屋の上側をエアコンで暖めてみてください。どちらも弱にすれば同じ電力消費量で部屋全体を効率的に暖めることができるでしょう。また、部屋が暖まってくればどちらかを切ればより節約になります。
パネルヒーターは部屋の空気を汚さず、かつ安全に部屋を暖められる暖房器具です。しかし、使用電力が12畳用のエアコンと同程度であり、かつ部屋全体を温めるには不向きなのがデメリットと言えます。使い方次第で電気代を節約することは可能ですが、それにも限度があるでしょう。もっと根本的に電気代を安くしたいという場合は電力会社を切り替える方法があります。
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今回は、パネルヒーターにかかる電気代や節約する方法などを紹介しました。一口にパネルヒーターといっても、サイズや使い方によって大分電気代は変わります。節約したい場合はできるだけ弱にしてつかい、タイマーなども活用しましょう。
また電力小売自由化の時代ですからTERASELでんきに乗り換えて電気代そのものを見直すのも効果的です。TERASELでんきは電気を使うご家庭ほどお得です。暖房費が電気代の大部分を占めるという場合は、考える余地があるといえます。
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