投稿日:2025/04/01
更新日:2025/03/27
でんきの節約術
スポットクーラーは、特定の場所を冷やすことができる電化製品です。「エアコンを設置できない部屋の暑さを和らげたい」「部屋全体ではなく、キッチンや作業スペースといった特定の場所だけを涼しくしたい」という場合に使用するのが適しています。しかし、スポットクーラーを使う場合、実際にどのくらい電気代がかかるのか気になっている方も多いでしょう。
そこで本記事では、スポットクーラーの電気代の目安をご紹介します。1時間・8時間・24時間つけっぱなしにした場合の電気代や、壁掛けエアコンとの電気代比較などもまとめているので、スポットクーラーの購入を検討している方や電気代を少しでも抑えたい方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事の内容は2025年3月時点の情報です
目次
スポットクーラーとは、持ち運び可能な小型のクーラーで、特定の場所や限られたスペースを効率的に冷やすのに向いている電化製品です。「簡易エアコン」と呼ばれることもあります。
必要な場所にだけピンポイントで冷風を届けられるので、キッチンやガレージといったエアコンの設置が難しい場合や、家族が複数人いる中で特定の人だけが涼みたい場合などに使用するのがおすすめです。
なお、スポットクーラーには家庭用と業務用の2種類がありますが、本記事では家庭用のスポットクーラーについてご紹介します。
スポットクーラーは、コンプレッサーや冷媒、熱交換器、ファン、吹き出し口、排熱口などで構成されています。
冷気が出るまでの流れは、エアコンとよく似ています。まず、本体の内部に搭載されたコンプレッサーが冷媒を圧縮し、熱交換器を通して空気を冷却します。冷却された空気がファンによって吹き出し口から放出され、風が当たった場所が涼しくなる仕組みです。また熱交換器は空気を冷却する一方で、空気の熱を放出する役割もあります。熱交換器によって放出された空気の熱は、排熱口を通して外に出されます。そのため、排熱口の周辺は温度が高くなりやすい点に注意しましょう。
スポットクーラーと似た電化製品として、パーソナルクーラーがあります。パーソナルクーラーは、デスクや棚の上に置ける冷風扇です。コンパクトで持ち運びできる点はスポットクーラーと同じですが、冷風を作り出す仕組みに違いがあります。
パーソナルクーラーには給水タンクが付いており、電源をつけると水が吸い上げられるのと同時にファンが作動、風が発生します。吸い上げられた水は風によって蒸発し、その際の気化熱を利用して冷風が作り出されるのです。
パーソナルクーラーは排熱をする必要がないため、排熱口から熱い空気が出ることはありません。ただし、冷却能力などは製品によっても異なるため、スポットクーラーとパーソナルクーラーのどちらを選ぶかは、しっかりと比較検討した上で決めましょう。
スポットクーラーと壁掛けエアコンは、どちらも暑さを和らげるための電化製品です。しかし両者にはさまざまな違いがあります。主な違いについて見てみましょう。
スポットクーラー | 壁掛けエアコン | |
設置工事 | 不要 | 必要 |
室外機 | 無し | 有り |
持ち運び | 可能 | 不可能 |
本体価格 | ~10万円程度 | ~50万円程度 |
冷却能力 |
|
|
電源 | 一般的な家庭用コンセントで使用可能 | エアコン専用のコンセントが必要 |
家電リサイクル法の対象 | 非対象 | 対象 |
スポットクーラーは限られたスペースを冷やすのに向いているのに対し、壁掛けエアコンは冷却能力が高く部屋全体を冷やすのに適しています。部屋を涼しくも暖かくもできるので、夏場はもちろん冬場にも重宝するでしょう。
またスポットクーラーは設置工事が不要ですが、壁掛けエアコンを導入する際は設置工事を行わなければなりません。さらにエアコンを稼働させるには専用コンセントが必要です。もし専用コンセントがない場合は、エアコンの設置業者とは別に電気工事士が在籍する業者に依頼しなければならず、手間と費用がかかります。本体価格と工事費用、コンセントの増設費用を合計するといくらかかるのか、事前に確認しておきましょう。
さらに壁掛けエアコンは、家電リサイクル法の対象となる電化製品です。家電リサイクル法とは、一般家庭や事務所から排出されたエアコンやテレビ、洗濯機、冷蔵庫を対象に、有用な部分や材料をリサイクルして、資源の有効活用を促進するための法律です。処分をする際は購入した家電量販店に回収を依頼する、市区町村にある指定引取所に持ち込む、一般廃棄物収集運搬の許可業者に回収を依頼するなど、適切に対応しなければなりません。
なお、スポットクーラーは家電リサイクル法の対象ではありません。ただし、フロンガスが使われている場合は、適切な方法で処分する必要があります。処分時は事前に購入した店舗や回収業者に相談しましょう。
スポットクーラーは、暑い時期には毎日使用する可能性がある電化製品です。導入を検討しているものの「どのくらい電気代がかかるか分からない」「電気代がかかりそうなので購入を踏みとどまっている」という方もいるのではないでしょうか。電気代は、以下の計算式で求めることができます。
スポットクーラーの消費電力は製品によって異なるため、今回は以下の2つのスポットクーラーを例に、電気代の目安をシミュレーションします。
実際に購入を検討しているスポットクーラーの電気代を計算したいときは、製品の公式サイトや取扱説明書を見て消費電力を確認しましょう。
また電力量料金は、契約している電力会社によって異なります。ここでは、全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している目安単価の31円/kWhで計算します。
※参考:公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会.「よくある質問」 .https://www.eftc.or.jp/qa/ ,(2025-03-05).
アイリスオーヤマの「IPA-2324S」の消費電力は670Wで、電気代の目安は以下の通りです。
※参考:アイリスオーヤマ.「「ポータブルクーラー IPA-2324S」商品サポート|商品情報」 .https://www.irisohyama.co.jp/products/support/4967576699730 ,(2025-03-06).
山善の「YEC-K222」の消費電力は980W(50Hzの場合)で、電気代の目安は以下の通りです。
製品によっても異なりますが、スポットクーラーを8時間使った場合は150~250円程度、24時間つけっぱなしにした場合は500~750円程度、電気代がかかることが分かります。
※参考:山善.「移動式クーラー YEC-K223」.(2025-03-06).https://book.yamazen.co.jp/product/detail/I00003889 ,(2025-03-06).
スポットクーラーの電気代の目安が分かったところで、壁掛けエアコンの電気代と比較してみましょう。ここでは以下の2種類の壁掛けエアコンで、電気代の目安をシミュレーションします。
今回はスポットクーラーと比較するため、6畳の小さい部屋に対応した壁掛けエアコンで見ていきます。また電力量料金は先述した通り、全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している目安単価の31円/kWhで計算します。
アイリスオーヤマの「IRA-2205R」の消費電力は540W(冷房の場合)で、電気代の目安は以下の通りです。
※参考:アイリスオーヤマ.「ルームエアコン IRR-2224C/IRA-2205R」 .https://www.irisohyama.co.jp/products/manual/html/106604/ ,(2025-03-06).
ダイキンの「AN225ARS-W」の消費電力は390W(冷房の場合)で、電気代の目安は以下の通りです。
6畳程度の部屋で、壁掛けエアコンを8時間使った場合は90~150円程度、24時間つけっぱなしにした場合は300~400円程度、電気代がかかることが分かります。
スポットクーラーと壁掛けエアコンの電気代の目安を比較すると、以下の通りです。
スポットクーラー | 壁掛けエアコン | |
1時間当たりの電気代の目安 | 20~30円 | 10~20円 |
8時間当たりの電気代の目安 | 150~250円 | 90~150円 |
24時間当たりの電気代の目安 | 500~750円 | 300~400円 |
壁掛けエアコンの対応畳数にもよりますが、6畳程度の部屋であればスポットクーラーよりもエアコンを使用した方が電気代が安くなる傾向にあります。なるべくスポットクーラーの電気代を抑えたい場合は「1時間だけ」「作業をしている間だけ」など、時間を決めて使うようにしましょう。
※参考:ダイキン工業株式会社.「Rシリーズ 仕様(スペック) | ルームエアコン」 .https://www.ac.daikin.co.jp/roomaircon/products/r_series/spec/ ,(2025-03-06).
スポットクーラーには、さまざまなメリットがあります。壁掛けエアコンとは異なる特長があるため、事前に把握しておきましょう。
壁掛けエアコンは設置工事が必要ですが、スポットクーラーは購入したら家庭用コンセントにつなげるだけですぐに使い始めることができます。
室外機もいらないので、壁に穴を開ける必要もありません。そのため賃貸物件であっても、大家や管理会社への事前相談なしで気軽に導入可能です。
初期費用が安い点も、スポットクーラーのメリットの一つです。先述した通り、壁掛けエアコンは本体価格に加えて、設置工事の費用や場合によっては専用コンセントの増設費用などがかかります。
スポットクーラーの場合、本体価格が壁掛けエアコンよりも安いことが多く、さらに設置工事の費用も必要ありません。そのため初期費用を抑えて導入できます。
先述した通り、壁掛けエアコンは、専用のコンセントがないと利用できません。また室外機を置く必要があるため、外壁に沿った壁に穴を開ける必要があります。そのため、室外機の置き場所がなかったり壁に穴を開けられなかったりすると、壁掛けエアコンを設置できないケースもあります。
しかし、スポットクーラーであれば、エアコンの取り付けが難しい部屋でも設置が可能です。家庭用のコンセントがある場所ならどこでも使用できるので、壁掛けエアコン専用のコンセントが設置されていない部屋や、壁面に十分な設置スペースがなく壁掛けエアコンを設置できない部屋でも涼しくできるでしょう。
スポットクーラーは、限られた狭いスペースを冷やすのに適しています。キッチンやガレージ、脱衣所、作業場、オフィスや書斎といった、壁掛けエアコンを設置できない狭いスペースで使うのがおすすめです。調理中のキッチンやテレワーク中にデスク周りだけを冷やしたいとき、入浴後の暑さを軽減したいときなどに、効率よく希望の場所だけを涼しくできます。
持ち手やキャスターが付いており、持ち運びが簡単にできるスポットクーラーも多いです。朝はキッチン、昼は作業部屋、夜は脱衣所といったように、生活に合わせて自由に移動させられ、常に希望の場所を冷やすことができるでしょう。使用後は部屋の隅に寄せておくと、邪魔になりにくいです。
ただし、一般的にスポットクーラーの重さは20~30kg程度で決して軽くはありません。キャスターが付いていないタイプの場合は、万が一の事故を防ぐために複数人で持ち運ぶようにしましょう。
ここからは、スポットクーラーの主なデメリット・注意点をご紹介します。
スポットクーラーは特定の場所を冷やすときに使用するもので、部屋全体を冷やすのには適していません。
スポットクーラーには「◯畳用」と掲示されている製品もありますが、使用する部屋が記載されている対応畳数内だったとしても、部屋全体を涼しくするのには時間がかかる傾向にあります。また時間をかけても涼しくならない可能性もあります。部屋全体を冷やそうとして長時間使用すると、その分電気代がかかってしまうので注意しましょう。
スポットクーラーは前方の吹き出し口から冷たい風が出る一方で、背面の排熱口からは熱風が排出されます。そのため排熱口付近の温度は上がりやすいという点がデメリットです。
特に閉め切った部屋でスポットクーラーを使う場合、冷風が当たる場所以外はかえって温度が上がってしまう恐れもあります。温度の上昇を防ぐには、排熱口にダクトホースをつなげて室外に熱を排出しなければなりません。ダクトホースが付いていないスポットクーラーの場合は、別途購入する必要があります。
なお、ダクトホースをつなげる場合は窓パネルも併せて用意しましょう。窓パネルとは窓に取り付けて、室内から室外へダクトホースを通すことができる部材です。ダクトホースの直径に合わせて穴が空いているので涼しい空気が外に出にくくなり、室内の温度の上昇を抑えられます。
スポットクーラーでは空気を冷却する際に、除湿水(ドレン水)が発生します。そのため定期的にドレン水を捨てる必要があります。排水タンクの容量が小さいと何回も排水しなければならず、手間がかかる点を認識しておきましょう。
排水の処理が大変な場合は、ノンドレン式のスポットクーラーを選ぶのがよいでしょう。ノンドレン式の詳細については後述します。
先述した通り、スポットエアコンは壁掛けエアコンよりも電気代が高くなる可能性があります。特に長時間使用する場合は電気代が膨らみやすいので、事前にシミュレーションをしておくのがおすすめです。
ここまでご紹介した内容を踏まえて、スポットクーラーの選び方をご紹介します。購入前にぜひチェックしてみてください。
スポットクーラーを購入する前に、当該製品の公式サイトや取扱説明書で、冷却能力を確認しておきましょう。冷却能力は一般的に「kW」で表記されており、数値が高いほど優れた冷房能力を備えているということです。
一方で、冷却能力の高いスポットクーラーは消費電力も多い傾向にあり、電気代もかかりやすいです。サイズも大きくなりやすいので、生活する上で邪魔になってしまうこともあるでしょう。使用する部屋の広さや用途を踏まえた上で、冷却能力を選ぶのがおすすめです。
スポットクーラーには、以下に挙げるような機能が搭載されているものもあります。
これらの機能が搭載されていると、購入価格が高くなりやすいです。また付加機能が多いスポットクーラーは多くはありません。欲しい機能が搭載されているか、事前に確認しておきましょう。
閉め切った部屋での使用を検討している場合は、ダクトホースが付いている製品を選ぶのがおすすめです。さらに窓パネル付きのものであれば、ダクトホースと窓の隙間をふさげるので効率的に冷やすことができるでしょう。
排水の手間をなくしたい場合は、ノンドレン式のスポットクーラーを選びましょう。ノンドレン式であれば、ドレン水を熱交換器の熱で蒸発させ、冷房時に発生した熱とともに排熱口から自動で放出されます。
スポットクーラーを購入する前に、どのくらいのサイズを選ぶかしっかり考えておくことが大切です。大き過ぎるものを選ぶと「使用する予定の場所に入らなかった」「部屋の隅に置いているにもかかわらず邪魔になってしまった」と後悔してしまう可能性があります。
また一つのスポットクーラーを複数の部屋に移動させて使いたい場合は、キャスターや持ち手が付いているかどうかも確認しておきましょう。
スポットクーラーは、一般的な壁掛けエアコンよりも運転中の音が気になる場合があります。勉強や仕事中、就寝中になるべく音を抑えて使いたい場合は、静音性を確認しておきましょう。
購入前に電気量販店に行き、実際に運転中の音がどのくらい大きいかを確認するのがおすすめです。通販などで購入する場合は、静音設計と明記されている製品や、音が静かであるというレビューが複数付いている製品を選びましょう。
スポットクーラーは手軽に持ち運びでき、さまざまな場所を涼しくできる電化製品です。エアコンを設置できない場合や特定の場所だけを冷やしたい場合に適しています。しかし、スポットクーラーの電気代は、壁掛けエアコンと比較すると高くなりやすいという注意点もあります。使用する際は、時間を決めて稼働させるのがおすすめです。
なるべく電気代を抑えつつスポットクーラーを使用したい場合は、契約している電力会社を切り替えるのも一つの方法です。電力会社を切り替えることで、電気代の基本料金や電力量料金単価を安くできる可能性があります。
伊藤忠エネクスグループのエネクスライフサービスが提供する「TERASELでんき」は、ライフスタイルに合わせて4つの料金プランから選べます。電気使用量が多い方向けのプランや電気の使い方を工夫できる方向けのプランなどもあり、ご家庭に適したものを選択することで無理なく電気代を削減できるでしょう。
TERASELでんきに切り替えた場合に電気代がどのくらいになるのかを、Web上でシミュレーションすることもできます。シミュレーションの後にそのまま申込みもできるので、電気代を抑えたい方はチェックしてみてください。
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