オール電化で停電した時の対処方法|備えておきたい4つのマル秘アイテム

投稿日:2022/01/12

更新日:2024/08/13

でんきの節目

オール電化の場合、停電が一番心配と思っている人は多いことでしょう。照明はもちろん、キッチン、冷暖房、風呂、トイレまで使えなくなるので、なかなかオール電化に踏み切れないという人もいるのではないでしょうか。
「備えあれば憂いなし」ということわざにもあるように、対策が大事です。
そこで今回は、オール電化で停電したときの対策方法について解説します。
ぜひ参考にしてください。

なお、本記事の情報は2023年5月時点での情報になります。
最新の情報は各公式ページをご参考ください。

この記事を書いた人

野中 康平
野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

オール電化は停電しやすいってよく聞くけど本当?

オール電化は停電しやすいのでは?と考えている方がいるかもしれませんが、そのようなことはありません。使用する電力量は大きくなりますが、電力会社と契約しているアンペア数が適切であれば、ブレーカーが落ちることは無く、停電もありません。

オール電化のシステムによっては、地域で停電が起きたとしても電気を使えるようにできます。その一番の方法は蓄電池を備えることです。

蓄電池の容量が6kWh前後であれば、1日15kWh程度使用する住宅の場合、半日弱しか持ちませんが、使用電力が大きいエアコンなどを使わずに2kWh程度まで節電できれば、3日程度持ちます。

kWhとは

kWh (キロワットアワー)とは、消費電力量を表す単位です。例えば、1kW(1000W) の電力を1時間使えば、その消費電力量は1kWhになります。計算式は次にようになります。
「消費電力(kW)」×「時間(h)」=「消費電力量(kWh)」
例えば、300Wのテレビを1日10時間つけていたとすれば、消費電力量は「0.3kW」×「10h」=「3kWh」となります。

太陽光発電と蓄電池を使ったオール電化システムの設備の場合、昼間発電した余剰電力を蓄電池に蓄電して、夜間使用することができるため、電気を自給自足できる状態になります。

しかし、蓄電池や太陽光発電システムを備えていないオール電化の場合、停電は最大の弱点となります。調理、給湯、暖冷房、照明などすべての電気機器が使えなくなるので、生活ができなくなるためです。

「ブレーカーが落ちる=停電」ではない

ご家庭に供給されている電気は、分電盤という装置を通して、各部屋に電気が流れるようになっています。この分電盤には、ご家庭で安全に電気が使えるようしているブレーカーという装置があり、異常を感知すると電気を遮断します。

ブレーカーは、各家庭が電力会社と契約している、電気器具を同時に使える契約アンペア数以上の電流が流れると落ちるようになっています。例えば、契約アンペア数が40アンペアの家庭では、「40アンペア」×「100ボルト」=「4,000W(4kW)」の大きさの電力までしか使えません。

その家庭で、もし電気炊飯器1200W、電気ポット700W、電子レンジ900W、ドライヤー700W、テレビ400W、照明器具140Wを同時に使用すると、4040Wの電力を使うので、ブレーカーは落ちてしまいます。しかし、この場合、電気が切れたのはその家庭だけで、地域の電気はついているので停電とは言いません。

オール電化で停電が起きてしまった場合

オール電化で停電が起きた時に最初にすべきことは、電気が来ていないのは家の一部だけなのか、家全体が停電しているのか、自宅だけでなく近所も停電になっているかの確認です。

停電しているのが自宅のみの場合は、ブレーカーが落ちているので、その原因を確認し対応する必要があります。

近所も停電の場合、停電復旧まで時間がかかる可能性もありますので、電気機器のプラグをすべてコンセントから抜き、水を溜め、備品や防止グッズを確認して、復旧を待ちます。

コンセントからプラグを抜く

停電になったときは、まず電気機器のプラグをコンセントから抜きましょう。それは、停電が解消したときに、過電流が発生して、火災の発生や電気機器の故障が起きる可能性を防ぐためです。

パソコンで作業中だった場合は、停電でパソコンのデータが消失するので、データを保存して電源を落としてから、プラグを抜きます。

また、アイロンがけをしている最中に停電が起きた場合、そのままにしておくと、復旧したときに火災が起きる危険もあります。他にドライヤーなど熱を発生するものも忘れずにコンセントを抜きます。

水を溜める

停電によって、水道が止まる場合があります。水道の給水には、排水管の水圧だけで各家庭の蛇口まで水道水を送っているところもありますが、給水管にポンプをつけて水を送る増圧式直結給水方式がとられている地域では、停電でポンプが動かなくなり、水が止まります。
マンションなどもタンクに水をためてポンプで各戸へ送水しており、停電になると、水道も止まってしまいます。このため飲み水の確保が大事になります。また、停電になると、オール電化住宅では、トイレの水も出なくなります。このため、停電時、すぐにトイレに流す水の確保も必要です。

スマホを「省電力モード」に切り替える

停電がすぐに解消しない場合は、スマホは重要な情報を集める手段になります。そのためスマホのバッテリーを長く持たせることが必要です。バッテリーの消費を抑えるために、まず画面(ディスプレイ)を暗くします。画面の自動オフまでの時間を短くするよう設定し直すことも大事です。

スマホを低電力や省電力モードに設定変更します。災害によっては、通信しづらくなると、スマホが電波を探すことで電池を消費するので、電池の消耗を抑えるために、自分の安否情報を「災害電伝言板」などに登録して、通信機能をオフにする機内モードに切り替えると、電池の消費を抑えることができます。

備蓄用品・防災グッズを確認する

停電した場合、備蓄用品、防災グッズを確認し、災害が迫っていれば、避難準備をします。災害に関係がない停電なら、当面必要なものはすぐ使える状態にしておきます。備蓄用品は停電が長引いた場合、食料、飲料水などが必要になるかもしれません。

防災グッズでは、ろうそくや懐中電灯はすぐに使えます。携帯ラジオがあれば、停電の情報が効けるかもしれません。カセットコンロはお湯を沸かすのに使えます。

初動対応はOK!停電がしばらく続いた場合の対処法は?

オール電化住宅では、停電した場合、すべての電気機器が使えなくなるので、対処法が必要になります。

トイレは水が出なくなるので、バケツで水を流す必要があります。IHコンロも使えないので、カセットコンロとカセットコンロ用ガスボンベが必要です。お湯もカセットコンロで沸かせます。冷暖房も使えなくなります。とくに冬、寒い地方では暖房用に石油ストーブと灯油を用意しておきます。

トイレの流し方を気を付ける

オール電化住宅のトイレは大きく分けて3種類あり、停電時に水の流し方はそれぞれ異なります。

手動レバーがついているタイプの場合は、1日で約20回の洗浄ができます。停電が2日以上続く場合は、手動レバーで給水できないので、単3電池2個装着して水をくみ上げてから、手動レバーで水洗します。電池2個で約137回の洗浄が可能です。

便器に洗浄つまみがあるタイプの場合、つまみを操作することで水洗ができます。しかし、製品によってつまみの位置や洗浄方法が違っているので、普段から操作方法を確認しておきましょう。

その他のタイプの場合、バケツで水を流します。トイレは停電によって水が出なくなるので、バケツに1杯の水を水飛びに注意しながら便器内に一気に流し込みます。さらに3L~4Lの水をゆっくり注ぎ、便器内の水位が通常の高さになるようにします。この水量で便器内の汚物は流せますが、排水管の途中に汚物が停滞するのを防ぐため、2回~3回に一度はバケツに2杯程度の水を流す必要があります。

IHコンロが使えない時

停電になると、IHコンロが使えなくなり、鍋やフライパンを使った調理ができなくなります。そんな時、非常食でカップ麺を用意している場合は、お湯でなくても水でつくることもできます。

面に味がついているカップ麺なら、水を注いでから15分で食べられます。カップ焼きそばも水を注いで20分ほどで柔らかくなり、液体ソースを絡めれば完成です。

寒い冬の場合、やはり暖かい食べ物や飲み物が欲しくなります。そういう場合は、カセットコンロ(卓上ガスコンロ)一つあれば、ご飯を食べるための簡易的な調理が可能になります。カセットコンロとカセットガスは常備しておくと便利です。

お湯が出ない時

停電でお湯が出ないとき、エコキュートを使っていれば、新たにお湯を沸かすことはできないものの、停電前に沸かしたお湯がタンク内に残っている場合、蛇口やシャワーから出して使えます。

エコキュートは電気でお湯を沸かす給湯器で、ヒートポンプで取り込んだ空気の熱で水の温度を上げて、65℃~90℃のお湯を貯湯タンクで保温する仕組みになっています。このため、停電で水道が止まっても、エコキュートでは、ガス給湯器などとも違い、貯湯タンクにお湯が貯まっていれば、しばらく水やお湯を利用できます。

シャワーにエコキュートにたまっているお湯を使う場合、高温のお湯が出る場合があるので、湯温を確認してから使います。飲み水として使う場合は、そのまま利用できないので、沸騰させてから使用することが必要です。

冷暖房が使えない時

夏に停電で冷房が使えない場合の対処法は、まず熱中症にならないように予防することが大事です。室内にいるときでも、外出時でも、のどが渇いていなくても、こまめに水分や塩分、経口補水液などで補給する必要があります。

また、体の蓄熱を防ぐために、衣服は通気性がよく、吸湿性、速乾性のあるものを着用して、体を保冷剤、氷、冷たいタオルなどで冷やすようにします。

冬に停電で暖房器具が使えない場合の対処方は、暖かい服装にして、毛布やカイロなどによる防寒対策をします。避難所に行く場合は、足元が冷えるので、防寒対策に厚手の靴下、スリッパ、毛布、断熱シートなど持参するようにします。

このような防寒対策では耐えられない場合は、石油ストーブかカセットガスボンベ式ストーブをあらかじめ用意しておきます。灯油も準備しておく必要がありますが、ストーブなら鍋ややかんでお湯も沸かせます。

停電に備えて準備しておきたい4つのマル秘アイテム

オール電化住宅の場合、停電に備えて、以下のものを準備おきたいものです。

  • 懐中電灯(電池式)
  • カセットコンロ
  • 石油・ガスストーブ
  • エコキュート

懐中電灯(電池式)

オール電化の場合の停電でなくてはならないのが、電池式の懐中電灯です。停電が昼間だけなら必要ありませんが、長引くと夜間は必須となります。誰がトイレに行くにしても電池は必要です。そのトイレでは水が出ないのでバケツで水を流す作業もあるので、懐中電灯が必要です。

ガスコンロでお湯を沸かす場合やなべで何かを煮る場合も、暗闇では何もできないので懐中電灯は必要です。万一のために用意してある備蓄用品や防災グッズを使うにも、グッズなどを置いてある部屋に取りに行って、準備するにも照明がなくては何もできません。

懐中電灯は家族が4人いれば家族分の最低4個は必要です。作業をする場合は、懐中電灯よりもランタン式のものが1個あると使いやすい場合があります。また、雨が降っているときに外へ出る場合を考えると、簡単な防水機能がついているものもあった方がよいでしょう。

停電が長引いたときのために、電池寿命は最低でも10時間ほどもつものを選ぶ必要があります。LEDライトなら、明るくて電池の寿命も長くなります。

カセットコンロ

停電になると、オール電化では、IHクッキングヒーターが使えないので、卓上のカセットコンロを1台用意しておくのがおすすめです。カセットガスも一緒に数本用意しておきます。

停電が長時間になると、飲み食いできるものが必要になります。万一の時のために水は用意していても、真冬に停電した場合、暖房もつけられない状態で水を飲むと、体が凍えてしまいます。そんな時は、体が温まる飲み物が必要になります。

卓上カセットコンロがあれば、そんな時に便利です。すぐにお湯を沸かしてお茶やコーヒーなどを飲むことができます。また、鍋料理も、材料さえあればつくることができます。ご飯を炊くこともでき、雑炊などもつくれます。停電が長引きそうで、不安なときは、温かい飲み物や鍋料理があるとホットします。

カセットコンロの連続燃焼時間は60分程度が一般的ですが、できるだけ燃焼時間が長いものを選びましょう。加熱で温度が異常に上がった場合に自動でガスボンベを外す安全装置がついていると安心です。

石油・ガスストーブ

オール電化で一番困るのは、真冬に停電が起きた場合です。エアコンがつけられないので、寒い地方では、寒さ対策が必要になります。その時の必須アイテムがストーブです。石油ストーブあるいはカセットガスストーブがあると、長い停電にも安心です。

真冬に停電が起きたときにストーブがないと、セーターや防寒コートを重ね着しなくてはなりません。手が冷たいと手袋も必要になります。それでも暖まらないと大変です。しかも重ね着をするほど体を動かしにくくなり、手袋をしていては必要な作業もできなくなります。

そんな時に欲しいのが石油ストーブです。石油ストーブには反射式と対流式がありますが、反射式はストーブの上でお湯を沸かすこともできます。対流式なら、360℃暖められて、家族が多い場合に向いています。

石油ストーブまでは必要ないという場合は、カセットガスストーブがおすすめです。3畳程度の小さい部屋向きです。卓上カセットコンロで使うカセットガスが使えます。

エコキュート

エコキュート(※)は、ヒートポンプを利用した電気式給湯器で、オール電化に必要なものです。貯水タンクからの水を熱交換器で温めて65℃~90℃のお湯にして貯湯タンクで保温されます。電気料金の安い深夜の電力を使用するので、都市ガス熱源に比べると、半分程度の費用で済むとされます。

しかし、日中に来客が多いという場合は、タンクのお湯が少なくなって、日中にお湯を沸かす必要があり、電気料金が高くなるので、電気料金プランを考え直す必要があります。

災害時に電気や水道が止まっても、タンクに溜めておいたお湯をしばらくは使うことができるのは、ガス給湯器と比較しても大きな利点になります。エコキュートは、基本的には飲用以外の用途で使うので、そのまま飲み水として使用する際は、沸騰させてから使う必要があります。

エコキュートの難点は他の給湯器よりも設置費が高いことです。ランニングコストと合わせて計算すれば、トータルでコストが安くなる場合もあります。また、導入時に補助金が出る自治体もありますので、住んでいる自治体に確認してください。

出典:パナソニック
https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/2_3.html

オール電化×新電力の停電リスクは?

オール電化住宅が新電力を利用しても、電気は従来の送電線を利用しているので、停電のリスクは変わりません。

新電力は電力の小売全面自由化によって、一般家庭向けの電力の小売りに新規参入している電気事業者のことですが、現在までさまざまな業種から新規参入が行われています。また、電気の発電については、太陽光発電などを行う会社もありますが、ほとんどは大手電力会社によって行われています。

しかし、送配電については、大手電力会社が所有しているので、小売電気事業者はその送配電網を借りて一般家庭に電気を供給するという仕組みになっています。

このため、現在住んでいる地域の送電網のどこかでトラブルが起きるとか、災害によって送電線が切れれば、その地域が停電になってしまうので、新電力を利用している家でも停電になります。停電への備えはしっかりとしておくことが必要です。

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電力の自由化で新規小売電気事業者の参入が相次いでいる新電力ですが、価格競争により電気料金の安い新電力に切り替えた場合、電気料金が安くなる可能性があります。また発電所の建設や、送電網の付設など大規模な設備投資が要らないことも電気料金を安く設定できる理由です。

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