投稿日:2025/02/28
更新日:2025/02/28
ガスの情報館
昨今は、ロシアのウクライナ侵攻や円安などの影響で原油価格が上昇し、ガス代は今後も高止まりになると予想されています。特にプロパンガスは都市ガスに比べると料金が高い傾向にあるので、ガス代を安くするためには節ガスに取り組むのはもちろん、根本的な見直しを検討することも大切です。
そこで本記事では、プロパンガスが高い理由やガス代を安くする方法、ガスの切り替え方法などを解説します。光熱費を抑える効果的な方法をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事の内容は2025年2月時点の情報です
目次
プロパンガスの平均金額は、石油情報センターのWebサイトで確認できます。1人暮らしのプロパンガスの使用料が5㎥だとして、2023年度の偶数月ごとのガス代平均金額は以下の通りです。
2023年度 プロパンガスの全国平均金額(基本料金・従量料金含む)
偶数月 | 平均金額(5㎥当たり/月) |
4月 | 5,470円 |
6月 | 5,488円 |
8月 | 5,471円 |
10月 | 5,487円 |
12月 | 5,535円 |
2月 | 5,523円 |
偶数月の平均金額を算出すると、5,496円(月)となります。
都市ガスも含めた2023年度の単身世帯当たりの月ごとのガス代平均金額は3,359円なので、プロパンガスの料金は高い傾向にあるといえます。表を見ると12月から2月にかけての寒い時期のガス代がやや高くなっていますが、4月から10月とそこまで大きな差はありません。ガス代を節約するなら冬場だけではなく、年間を通して節ガスに取り組む必要があります。
※参考:石油情報センター.「一般小売価格 LP(プロパン)ガス 確報(偶数月調査) 2011.4 ~」.https://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html ,(2025-01-30).
※参考:総務省.「家計調査 家計収支編 単身世帯」.https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003000797 ,(2025-01-30).
プロパンガスが高い理由は、主に以下の通りです。
それぞれの理由について、詳しく解説していきます。
一般的にガス代は、基本料金と従量料金で構成されており、プロパンガスの場合は「二部料金制」「三部料金制」「最低責任使用料金制」の3つの料金体系があります。二部料金制はシンプルに基本料金と従量料金で決まる料金体系です。そこに設備使用料金が加わると、三部料金制となります。最低責任使用料金制は、一定のガス使用量までを「最低責任使用料」と定めて固定金額にし、超過したら従量料金がかかる料金体系です。それぞれのガス代の計算方法は、以下の通りです。
<二部料金制>
基本料金 + 従量料金(使用量(㎥) × 従量単価)
<三部料金制>
基本料金 + 従量料金(使用量(㎥) × 従量単価)+設備使用料
<最低責任使用料金制>
最低責任使用料 + 従量料金(最低責任使用量を超過した分の使用量(㎥) × 従量単価)
どの料金体系であっても、プロパンガスの場合は従量単価が高く設定されていることが多く、その影響でガス代も高くなります。
例えば、二部料金制で1カ月のプロパンガスの使用量を5㎥とした場合に、2024年10月度分の関東の平均従量単価を算出してみると、以下のようになります。
従量料金(ガス代5,252円-基本料金1,895円)÷5㎥=従量単価671.4円(月)
一方、東京ガスの都市ガスの従量単価を例に挙げてみると、ひと月のガス使用量0~20m³までで145.31円となっています。なお、基本料金も759.00円と、プロパンガスよりも安いです。プロパンガスは都市ガスに比べてガスを供給するための手間がかかるため、基本料金や従量単価が高くなる傾向にあるのです。
※参考:石油情報センター.「最新価格情報 LPガス月別」.https://oil-info.ieej.or.jp/price/price_ippan_lp_gusu.html ,(2025-01-30).
※参考:東京ガス.「ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)」.https://reception.tokyo-gas.co.jp/ryokin/ ,(2025-02-07).
プロパンガスの料金は、ガス会社や住んでいる地域によって差があり、場合によっては高額になります。
プロパンガスは都市ガスと同じように自由料金制ですが、都市ガスの小売全面自由化が2017年だったのに対して、プロパンガスは昔から自由料金制でした。
小売自由化以前の都市ガスは公共料金だったので、経済産業大臣が認可した料金設定で運用されていました。自由化以降はもともとの料金設定を基準に、なるべく安く提供することで顧客を獲得してきました。一方、プロパンガスにはそもそも基準となる料金設定がないため、会社や地域ごとに価格設定が大きく異なります。
またプロパンガスは全国のほとんどの地域で利用できることもあって販売事業者数が多く、2023年12月末時点で15,791社に上ります。都市ガスの2024年1月1日時点の販売事業者数は190社なので、その差は歴然です。中には高額な料金で販売している会社もあり、選んだ会社によっては相場以上の金額を支払うことになってしまうケースもあります。
※参考:経済産業省.「LPガスの安全・規制(2023年(2023年12月末)時点の全国の販売事業者数・保安機関数等)」.https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/lpgas/anzen_torikumi/jigyosha05.pdf ,(2024-05-17).
※参考:日本ガス協会.「都市ガス事業の現況 2023-2024」.https://www.gas.or.jp/gasfacts_j/#target/page_no=22 ,(2024-03).
プロパンガスはガスボンベで供給されるので配送費用がかかります。またガス会社は定期的にガスボンベを需要家の住宅へ運び交換作業も行うため、ガス代の中には作業費や点検費なども含まれています。そのためガス代が高くなってしまうのです。
ガス代に設備工事の費用が上乗せされて高くなっている可能性もあります。
プロパンガスを設置する際の工事費用は、ガス会社や設置場所により異なりますが、15万~20万円ほどかかるのが一般的です。最初の工事費用はガス会社が立て替えますが、毎月のガス代に少しずつ上乗せされ費用が回収される仕組みとなっており、これを無償貸与契約といいます。
ガス会社の中には、工事費用を支払い終わっているのにもかかわらず、料金を上乗せしたまま請求してくる悪徳業者もいます。ガス代が高くて困っている場合は、内訳をガス会社に問い合わせてみましょう。特に無償貸与契約の期間を過ぎても金額が変わらない場合は、要注意です。
プロパンガスとは、プロパンやブタンなどを主成分とした液化石油ガスです。LPG(Liquefied Petroleum Gas)・LPガスとも呼ばれます。冷却すると液化して体積が小さくなるので輸送しやすく、全国のほとんどの地域で使用できるのが特徴です。
プロパンガスと都市ガスは、以下のようにさまざまな点で異なります。
プロパンガス | 都市ガス | |
原料 | 液化石油ガス(LPG) | 液化天然ガス(LNG) |
主成分 | プロパン・ブタン | メタン |
重量 | 空気よりも重い | 空気よりも軽い |
供給エリア | 全国のほとんどの地域 | 主に都市部 |
供給方法 | ガスボンベ | 地下のガス管 |
発熱量 | 大きい | 小さい |
料金 | 高い | 安い |
プロパンガスが液化石油ガスからできているのに対して、都市ガスはメタンを主成分とする液化天然ガスからできています。プロパンガスは空気よりも重いので、ガス漏れ警報器が床の近くに設置されています。一方、都市ガスは空気よりも軽いので、警報器が天井に取り付けられているのが一般的です。
またプロパンガスが全国のほとんどの地域で利用できるのに対して、都市ガスはその名の通り、主に都市部でしか使用できません。都市ガスは地下に張り巡らされたガス管を通じて供給されるため、住宅の密集しているエリアでしか利用できないからです。ガスボンベを必要としないため、プロパンガスのように配送料や手数料がかからず、費用も安めです。
なお都市ガスの料金が安い理由には、ガス会社の価格競争が活発であることも挙げられます。先述のように2017年に都市ガスの小売自由化が始まり、販売事業者は一気に増えました。顧客を獲得するため、価格を安くしたりお得なプランを打ち出したりしている企業が多くあるのです。
プロパンガスには以下に挙げるようなメリットもあります。
詳細について解説します。
プロパンガスは地域を問わず使えるのがメリットです。先述した通り、都市ガスは地下のガス管で供給されるため、基本的に都市部でしか利用できません。プロパンガスはガスボンベで供給されるので、全国のほとんどの地域で利用できます。
プロパンガスは発熱量が大きく、都市ガスの2倍あるとされている点もメリットです。家庭用のプロパンガスは、都市ガスの発熱量と差が出ないように調節されますが、業務用の場合は発熱量に制限がかかりません。そのため工場や飲食店ではエネルギー効率が良く高火力の出るプロパンガスが選ばれる傾向にあります。
プロパンガスは石油や石炭を燃やすのに比べて、二酸化炭素の排出量を抑えられます。また燃焼時に硫黄や残さが発生しないよう厳重に管理されており、人体に有害な物質がほとんど含まれていないため、安全性も高いです。
災害時の復旧が早い傾向があるのも、プロパンガスのメリットです。プロパンガスは住宅の外に備え付けてあるガスボンベからガスを引くため配管が短く、万が一故障した場合も小規模な修理で済むケースが多いです。一方、都市ガスの配管は地下に張り巡らされているため、地震などにより配管が故障や破損した場合は大規模な修理が必要になります。
生活の中で工夫することで、プロパンガスの料金を安くできる可能性があります。ここからはその方法について、詳しくご紹介します。
まずは、日常的にガスを使い過ぎていないか振り返ってみましょう。ガスは主に給湯やガスコンロ、暖房器具などで使用されます。お風呂で使っているお湯の量や、ガスコンロの使用時間に無駄があると、ガス代が高くなってしまうので注意しましょう。
具体的な節ガス方法として、以下が挙げられます。
シャワーを長く浴びていると、ガス代が高くなる可能性があります。体を温めたいなら湯船にお湯を張った方が節約になるかもしれません。また追いだき機能の使用はガス代が高くなる原因となります。家族が複数人いる場合、お風呂は間を空けずに続けて入り、なるべく追いだき機能を使わないように心掛けましょう。
またガスコンロを使う時間を短くするために、電子レンジを併用するのもおすすめです。煮込み料理に入れるジャガイモやカボチャなどは、一度電子レンジで温めると柔らかくなり、煮込む時間を短縮できます。
さらに暖房器具をガスファンヒーターのみに絞っている場合は、エアコンやサーキュレーターなどを組み合わせて使用時間を短くすると節約になります。電気代はかかりますが、ガス機器と電化製品を組み合わせて使った方が、総合的な光熱費はお得になりやすいです。
現在契約しているガス会社に、料金の値下げ交渉をしてみるのもよいでしょう。現在のガス代の内訳が不透明な場合は、ガス会社に内容を問い合わせるのがおすすめです。教えてもらえない場合は悪徳業者の可能性があるので、ガス会社の変更を視野に入れてもよいかもしれません。
同じガス会社ではガス代が安くなりそうにない場合や、悪徳業者である可能性が高い場合は、ガス会社を変更しましょう。プロパンガスの販売事業者は数が多く、会社によって料金体系・料金プランが違うので、自身に合った会社を選ぶためにも慎重に比較検討することが大切です。
都市ガスの対応エリアへ引越せば、ガス代を大幅に安くできる可能性があります。引越し代や、新築を立てる場合は都市ガスの導管工事など初期費用もかかりますが、先述した通りプロパンガスよりも毎月のガス代を抑えられるケースが多いため、長い目で見れば節約になります。
なおガス会社によって都市ガスの供給エリアが異なるため、引越し先が検討しているガス会社の供給エリアに入っているか事前に確認することが大切です。
プロパンガスの料金を安くするためにガス会社を変更する際は、以下の手順を踏みましょう。
ガス会社を変更する際は、必ず複数のガス会社から見積もりを取りましょう。特にプロパンガスの場合はガス会社によって料金設定が大きく異なるため、インターネットで比較サイトを見たり、仲介業者に相談したりして、慎重に探すことが大切です。
都市ガスに切り替える場合も同様に、いくつか見積もりを取ってから契約を結びましょう。都市ガスの場合は他社と差別化を図るために、電気とガスをセットにすると安くなるといった、お得なキャンペーンを打ち出しているガス会社もあります。都市ガスは会社による基本料金の差があまりないので、特典は選定する際のポイントとなるでしょう。
新しいガス会社を決めたら契約を結びます。現在契約しているガス会社への解約手続きは、新しいガス会社が対応してくれるのが一般的です。なお、解約手続きから1週間以内のクーリングオフ期間であれば、解約をキャンセルすることもできます。
解約まで済んだら、ガスの切り替え工事に立ち会いましょう。前のガス会社から借りていたガス機器などは、新しいガス会社が返却してくれます。ガスの開栓作業が終わり、点火テストに立ち会ったら、利用を開始できます。
工事にかかる期間は状況により異なりますが、プロパンガスのままであれば30~40分程度、プロパンガスから都市ガスに変更する場合は、1週間から1カ月が目安です。
プロパンガスの会社を変更する際は、トラブルを避けるためにも次の注意点を押さえておきましょう。
ガス会社を変更する前に、ガスボンベやガス機器などが借用品ではないかを確認しましょう。借用品の場合、借用期間中に解約すると、違約金の支払いが発生する可能性があります。あらかじめ契約内容を確認し、支払いが発生する可能性がないかを確認しておきましょう。あまりにも高額な違約金を請求される場合は、新しいガス会社へ相談するか、消費生活センターなどへ相談しましょう。
現在のガス会社との契約期間が残っていないかも事前に確認しましょう。契約期間中に解約した場合は、違約金が発生する可能性があります。残りの契約期間を確認して、契約満了後に解約する方がお得なのか、それとも違約金を支払ってでもガス会社を切り替えた方がお得なのかを検討してみましょう。
こちらも同様に、あまりに高過ぎる違約金を請求された場合は、新しいガス会社か消費生活センターなどに相談するのがおすすめです。
プロパンガスが高い理由には、従量料金が都市ガスに比べて高く設定されていることや、ガス会社・地域によって金額に大きな差があること、配送費や設置工事費などが毎月のガス代に含まれることなどが挙げられます。
なるべくガス代を抑えたい場合は、節ガスを心掛ける他、ガス会社自体の変更などを検討しましょう。都市ガスの対応エリアへ引越せば、多少の初期費用はかかっても、ランニングコストを抑えられます。
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