プロパンガスと都市ガスの違いとは? それぞれのメリット・デメリットや見分け方も解説!

投稿日:2025/02/28

更新日:2025/02/28

ガスの情報館

全国の一般家庭で利用されているガスには、プロパンガスと都市ガスがあります。それぞれの違いを意識する機会は少ないので、引越しなどで今までとは違うガスの供給エリアに移住する方やどちらのガスも選べる方は、どのような違いがあるのかを知りたいのではないでしょうか。

そこで本記事では、プロパンガスと都市ガスの違いやメリット・デメリット、ガスの見分け方などをご紹介します。最後にはガスの切り替え方もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は2025年2月時点の情報です

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この記事を書いた人

野中 康平
野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

プロパンガスと都市ガスの違い

プロパンガスと都市ガスの違い

プロパンガスと都市ガスには、以下のような違いがあります。

プロパンガス 都市ガス
原料 液化石油ガス(LPG) 液化天然ガス(LNG)
主成分 プロパン・ブタン メタン
重量 空気よりも重い 空気よりも軽い
供給エリア 全国のほとんどの地域 都市部
供給方法 ガスボンベ 地下のガス管
発熱量 大きい 小さい
料金 高い 安い

各項目について、以下で詳しく解説します。

原料・主成分・重量

プロパンガスの原料はプロパンやブタンを含む液化石油ガス(LPG)、都市ガスの原料はメタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)です。

プロパンガスは空気よりも重く、ガスが漏れると床の方にたまります。そのためガス漏れ警報器は床の近くに設置されています。一方、都市ガスは空気よりも軽いので、ガスが漏れると天井にたまります。そのため警報器は天井に取り付けられているのが一般的です。

なおプロパンガスも都市ガスも無色・無臭ですが、ガス漏れに気が付かない危険性があるため、人工的に臭いを付けてあります。

供給エリア・供給方法

プロパンガスは、業者がガスボンベを全国の需要家へ配送する方法で供給されています。ガスボンベの中には液化石油ガスが入っており、外へ排出される際に気化する仕組みです。都市ガスは地下に張り巡らされたガス管を通じて供給されています。そのため、住宅が多く集まっている都市部で主に利用されています。

発熱量

プロパンガスの発熱量は、都市ガスの約2倍以上とパワフルです。プロパンガスでお湯を沸かすのに5分かかるとしたら、同じ体積の都市ガスでは10分かかる計算になります。

ただし、家庭に置かれているガス機器では、プロパンガスと都市ガスのどちらを使っても、お湯を沸かす時間はほとんど変わらないように設定されています。

料金

プロパンガスの料金は比較的高く、都市ガスは安い傾向にあります。

プロパンガスは、ガスボンベを住宅へ定期的に配送し、設置する作業が必要です。ガス代に加えて人件費や配送料、手数料などが上乗せされるので、都市ガスに比べると料金が高くなります。

実際に、一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センターが公表するプロパンガスの一般小売価格と、東京ガスの一般契約料金を見比べてみましょう。

1カ月当たりのガス使用量 プロパンガス
(2025年1月31日調査日)
都市ガス※
5㎥ 5,616円 1,485.55円
10㎥ 9,136円 2,212.1円
20㎥ 15,807円 3,665.2円

※5㎥~10㎥は東京ガスの一般契約料金のうち、1カ月のガス使用量が0㎥から20㎥までの区分を参照(基本料金:759円、基準単位料金:145.31円)

20㎥は東京ガスの一般契約料金のうち、1カ月のガス使用量が20㎥を超え80㎥までの区分を参照(基本料金:1,056円、基準単位料金:130.46円)

あくまで一例ですが、プロパンガスよりも都市ガスの方が料金が安いのが分かります。

なお、プロパンガスの料金体系には「二部料金制」「三部料金制」「最低責任使用料金制」の3つがあります。二部料金制は、基本料金に従量料金を合わせて請求する一般的な料金制度です。従量料金とは、ガスの使用量に応じて変わる料金です。

三部料金制では、二部料金制で請求される金額の他に、設備料金などが加わります。また責任使用料金制は、あらかじめ決めてあるガスの使用量分を最低責任使用料とし、それを上回った場合に、従量料金を足す仕組みです。

それぞれのガス代の計算方法は、以下の通りです。

<二部料金制>
基本料金 + 従量料金(使用量(㎥) × 従量単価)

<三部料金制>
基本料金 + 従量料金(使用量(㎥) × 従量単価)+設備使用料

<最低責任使用料金制>
最低責任使用料 + 従量料金(最低責任使用量を超過した分の使用量(㎥) × 従量単価)

一方、都市ガスはガスボンベが不要なため配送料がかかりません。また2017年にガスの小売自由化が施行されて以降、市場の価格競争が促進されています。他社と差別化を図るために料金を低めに抑えたり、お得なキャンペーンを打ち出したりしている会社が多いため、プロパンガスに比べてガス代が安い傾向にあります。

都市ガスの料金は、基本料金に従量料金を足した合計金額です。計算式は、以下の通りです。

基本料金 + 従量料金(単位料金(基準単位料金(円/㎥) ± 原料費調整単価(円/㎥)) × 当月のガス使用量)

※参考:一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター.「一般小売価格-LP(プロパン)ガス-」.https://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html ,(2025-02-07).

※参考:東京ガス.「ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)」.https://reception.tokyo-gas.co.jp/ryokin/ ,(2025-02-07).

プロパンガスのメリット

プロパンガスと都市ガスの違いを押さえたところで、続いては両者のメリット・デメリットをご紹介します。

プロパンガスを使用するメリットは、以下の通りです。

どの地域でも使える

先述した通り、プロパンガスはガスボンベさえ配送して設置できれば全国のほとんどの地域で利用できます。屋外にガスボンベを設置してそこからホースでガスを引くため、大きな工事は必要ありません。新築で初期費用をかけずにガスを利用したい場合もおすすめです。

災害時の復旧が早い傾向がある

プロパンガスのメリットとして、災害時の復旧の早さも挙げられます。プロパンガスは、住宅の外に備え付けてあるガスボンべから家の中にガスを引くため、配管が短く修理に時間がかからない傾向にあります。

プロパンガスのデメリット

一方、プロパンガスにはデメリットもあります。

ガス代が高い

先述した通り、プロパンガスは料金が比較的高いのがデメリットです。プロパンガスの料金には、都市ガスには含まれない人件費や配送料が加味されますが、メリットにもなっている部分なので、必要経費として捉えるのがよいでしょう。

またプロパンガスは従来より自由料金制だったため、その内訳には不透明な部分がありました。これを是正するため、資源エネルギー庁は2017年2月に「液化石油ガスの小売営業における取引正化指針(取引適正化ガイドライン)」を制定。2024年4月には「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を公布し、料金の透明化を進めています。

※参考:経済産業省.「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」.https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/notice/170130/handout/pdf/handout_003.pdf ,(2017-02-22).

※参考:経済産業省.「「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を公布しました」.https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240402001/20240402001.html ,(2024-04-02).

都市ガスのメリット

続いて、都市ガスのメリット・デメリットをご紹介します。

都市ガスのメリットは、以下の通りです。

安全性が高い

都市ガスは安全性が高いことがメリットです。都市ガスの主成分であるメタンは空気よりも軽いため、万が一ガス漏れが起こっても天井の方にたまります。換気扇や窓から外に逃がしやすいので、プロパンガスに比べると安全を確保しやすいといえます。ただし、ガス漏れを放置すると部屋の中にたまってしまうため、必ず換気してください。

また原料である天然ガスには一酸化炭素などの有毒な成分が含まれないため、ガスのみを吸うだけでは一酸化炭素中毒にはなりません。ただし、何らかの原因で不完全燃焼を起こすと一酸化炭素中毒が起こるため、十分に注意しましょう。

ガス代が安い

プロパンガスに比べてガス代が安いことも、都市ガスのメリットの一つです。都市ガスは地下のガス管を通して供給されるので、プロパンガスのような諸経費がかかりません。

また2017年のガスの小売自由化により、価格競争やサービス競争が活性化しています。そのためお住まいのエリアに供給しているガス会社の中から、よりお得なプランやキャンペーンを行っている会社を選べるのもメリットです。

都市ガスのデメリット

都市ガスの代表的なデメリットは、以下の通りです。

限られたエリアでしか使えない

都市ガスという名前の通り、都市部でしか利用できない点はデメリットです。都市ガスは地下にガス管がなければ利用できないため、住宅が密集していない地域は供給エリアに含まれていない可能性があります。

都市ガスを利用するには、供給エリアに引っ越さなければなりません。もし新築の家に住む場合は、導管工事のために10万円程度の初期費用を支払う必要もあります。

※参考:京葉ガス.「ガス工事の費用(新築)」.https://www.keiyogas.co.jp/gas/gassen/koji.html ,(2025-02-07).

※参考:東京ガス.「内管工事費見積単価表」.https://www.tokyo-gas.co.jp/network/koji/nagare/pdf/copy_of_naikanmitsumori1_20240101.pdf ,(2025-02-07).

災害時の復旧が遅い傾向にある

都市ガスは災害時の復旧に時間がかかる傾向があります。地下のガス管はつながっているため、どこかが破損した場合は供給を止めて、全ての配管の点検を行わなければなりません。東日本大震災では、復旧までに数カ月を要したケースもありました。

プロパンガスと都市ガスを見分けるには?

プロパンガスと都市ガスを見分けるには?

自分がプロパンガスと都市ガスのどちらを使っているのか分からない場合は、以下の方法で見分けられます。

ガスボンベの有無を確認する

住宅の外にガスボンベが設置されているかどうかを確認してみましょう。ガスボンベがあればプロパンガス、なければ都市ガスです。なおガスボンベの交換は業者が行います。交換時に立ち会う必要もありません。

ガスコンロのシールやガス漏れ警報器の場所を確認する

ガスコンロに貼られているシールや、ガス漏れ警報器の場所でも見分けられます。ガスコンロのシールに「LPG」「プロパンガス用」と書かれていたらプロパンガス、「12A」「13A」「都市ガス用」と書かれていたら都市ガスです。

また警報器は、ガス漏れの際にガスがたまる場所に取り付けられています。プロパンガスは空気よりも重いので床の側に警報器が付いており、都市ガスは空気よりも軽いので天井に警報器が付いています。

プロパンガスと都市ガスを切り替えるには?

プロパンガス・都市ガスを切り替えるには、一定の条件をクリアしている必要があります。以下では、プロパンガスから都市ガス、都市ガスからプロパンガスに切り替える方法をご紹介します。

プロパンガスから都市ガスに切り替える方法

プロパンガスから都市ガスに切り替えるには、住んでいるエリアが都市ガスに対応していることが前提条件となります。そのため、まずは都市ガスの対応エリアなのかを確認しましょう。

また導管工事が行える環境であるかも確認しなければなりません。都市ガスを新たに利用するには、公道から住宅までガスの導管をつなげる必要があります。他の家に囲まれている場合は、公道までの道を塞いだり、近隣の家の私道を使わせてもらったりするケースもあるでしょう。工事を始める前に、どのような影響があるのかを近隣住民に伝え、許可を取ることが大切です。

なお集合住宅や賃貸住宅に住んでいる場合は、管理会社の許可がなければ工事できません。

これらの条件をクリアしたら、以下の方法で切り替えましょう。

  1. いくつかのガス会社へ問い合わせる
  2. 訪問見積もりを依頼する
  3. ガス会社を決めて契約を結ぶ(前のガス会社へ解約手続きをしてもらう)
  4. ガスの導管工事を行う
  5. プロパンガスの撤去工事後、利用を開始する

工事の準備や行政への申請にかかる期間によっても異なりますが、1カ月程度で切り替え工事は完了します。

都市ガスからプロパンガスに切り替える方法

都市ガスからプロパンガスに切り替える際も、住んでいるエリアがプロパンガスに対応していることが前提条件となります。災害時の復旧作業に時間を要するのが心配といった理由でプロパンガスにしたい場合は、必ず対応エリアを確認してください。

確認が済んだら、以下の方法でガスを切り替えましょう。ただし、こちらも集合住宅や賃貸住宅の場合は許可が必要となるので、注意してください。

  1. プロパンガスを扱っているいくつかのガス会社へ問い合わせる
  2. 工事の可否や費用について相談し、訪問見積もりを依頼する
  3. ガス会社を決めて契約を結ぶ(前のガス会社へ解約手続きをしてもらう)
  4. ガス機器・ガスメーターなどの交換、工事を行う
  5. 利用を開始する

プロパンガスへの変更は、3の手順で前のガス会社に解約通知をしてから、7日は間を空けないと工事ができないと法令で決められています。そのため、切り替え工事は早くても2週間程度かかるでしょう。

まとめ

プロパンガスと都市ガスは、原料や供給エリア、料金などが異なります。プロパンガスは液化石油ガスを原料に作られており、ガスボンベによって供給されるため全国のほとんどの地域で利用できます。災害時の復旧も都市ガスに比べて早い傾向にありますが、料金が高いのがデメリットです。

都市ガスは液化天然ガスを原料としており、地下に張り巡らされたガス管を通じて供給されるので、都市部でしか利用できません。プロパンガスに比べてガス代が安いのが特長ですが、ガス管が長くつながっているので、災害時の復旧に時間がかかる傾向があります。

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