再生可能エネルギー発電促進賦課金とは?メリットと5つのエネルギーも解説

投稿日:2022/11/16

更新日:2024/08/28

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毎月支払う電気料金には、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が含まれています。再生可能エネルギー発電促進賦課金は、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に関係するお金です。

しかし、再生可能エネルギー発電促進賦課金という言葉は知っていても、仕組みや特徴を正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、再生可能エネルギー発電促進賦課金が導入された背景や目的、対象となる再生可能エネルギーについて解説します。再生可能エネルギー発電促進賦課金のメリットにも触れるため、参考にしてください。
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この記事を書いた人

野中 康平
野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは


再生可能エネルギー発電促進賦課金とは
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、省エネ促進を維持するために必要となる負担金です。「再エネ賦課金」と略されることもあります。

日本では、地球温暖化の抑制やエネルギーの自給率向上を目指すために、2012年7月からFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)が始まりました。FIT制度は、再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、電力会社が一定期間買い取る仕組みです。

再生可能エネルギーを用いて発電された電気の買い取りにかかるお金は、再生可能エネルギー発電促進賦課金として、電気を使用する国民全員が負担します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価の算定方法

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、毎年経済産業大臣が設定する「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」を用いて算定します。単価の算出には、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)で定められた以下の算定方法が適用されます。

「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」=(「買取費用等」 -「 回避可能費用等」 +「 広域的運営推進機関事務費」) ÷ 「販売電力量」

それぞれの用語の意味は以下のとおりです。

買取費用 電気事業者が再生可能エネルギー由来の電気(再エネ電)を買い取るのに要した費用
回避可能費用 電気事業者が再生可能エネルギーを買い取ることで、本来は行っていた発電を実施しなくなり、削減される費用
広域的運営推進機関事務費 広域的運営推進機関が使用する事務費。広域的運営推進機関は、広域的な運営による電気の安定供給の確保のために以下を行う
・電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備
・全国大で平常時・緊急時の需給調整機能の強化
販売電力量 電気事業者が販売する電力の量

直近5年間の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は以下のとおりです。

年度 再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
2020年度
(2020年5月分~2021年4月分)
2.98円/kWh
2021年度
(2021年5月分~2022年4月分)
3.36円/kWh
2022年度
(2022年5月分~2023年4月分)
3.45円/kWh
2023年度
(2023年5月分~2024年4月分)
1.40円/kWh
2024年度
(2024年5月分~2025年4月分)
3.49円/kWh

2023年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は、制度開始以来初の引き下げとなりました。2024年度は2023年度の倍以上になっているものの、2023年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が安かったため、実際には2022年度と同水準となっています。

参考:経済産業省.「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価を設定します」.
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240319003/20240319003.html ,(2024-03-19).

TERASELでんき.「利用料金の計算方法」.
https://www.terasel.jp/charge/adjust/#box02 ,(参照 2024-07-27).

参考:電力広域的運営推進機関.「電力広域的運営推進機関の概要と組織設計」.
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/koikiteki_uneisuishin_wg/pdf/001_05_00.pdf ,(2020年7月).

再生可能エネルギー発電促進賦課金の支払い方法

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、毎月の電気料金と併せて徴収されます。そのため、個々人が何か手続きを行う必要はありません。

実際に徴収される金額は、毎月の検針票にて確認できます。金額内訳は以下の通りです。

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」= 「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」 × 「1カ月の使用電力量」

単価は1kWh当たりなので、電気使用量に応じて金額が変動します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金の仕組み

再生可能エネルギー発電促進賦課金の仕組み

ここで、再生可能エネルギー発電促進賦課金の仕組みについて詳しく解説します。

電力会社が再生可能エネルギー(再エネ)によって発電された電気を買い取ると、一定の買取費用が発生するため、自社で発電するよりもコストが上がる傾向にあります。そこでまず費用負担調整機関という組織が、再エネ由来電気の買取によって発生すると考えられるコストを算出し、買取費用を交付する形で電力会社の負担の一部を一次的に軽減します。

費用負担調整機関が交付した費用はあくまで一時的なものであり、実際にこのコストを負担するのは電気を使用する国民全員です。電力会社は毎月の電気料金と併せて再生可能エネルギー発電促進賦課金を国民から集め、集めた再エネ賦課金を費用負担調整機関へ納付することで、一時的に交付されていた買取費用を返納します。これが、再生可能エネルギー発電促進賦課金の仕組みです。

なお再生可能エネルギー発電促進賦課金の算出に使用する再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は、先述の通り経済産業大臣が決定します。決定に当たっては、調達価格等算定委員会という組織が、買取価格や買取機関について意見します。

参考:電力広域的運営推進機関.「制度概要」.
https://www.occto.or.jp/fit/ ,(参照 2024-07-27).

対象となる5つの再生可能エネルギー


再生可能エネルギー発電促進賦課金の対象となる再生可能エネルギーは、次の5つです。

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス発電

ここでは、5つの再生可能エネルギーの特徴とメリット・デメリットを解説します。

太陽光発電

太陽光発電は、太陽光パネルを設置して太陽の光エネルギーを電気に換えるシステムです。太陽光パネルは一般家庭にも設置できるため、再生可能エネルギーに比べて普及率が高い特長があります。

太陽光発電のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリット デメリット
・メンテナンスがしやすい
・太陽光があれば発電を続けられる
・非常用電源としても使える
・天候によって発電量が左右される
・夜間の発電はできない

家庭で太陽光発電を行う場合、家で使用する電気を太陽光発電でまかなえることに加え、余剰電力は電力会社へ売電できます。

風力発電



風力発電は、風の力を電力に換えるシステムです。発電の種類は、下記の2つに分けられます。

  • 陸上風力発電:発電装置を山や海沿いに設置する
  • 洋上風力発電:発電装置を海や湖に設置する

風力発電のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリット デメリット
・昼夜を問わず発電できる
・効率良く発電できる
・風力が弱いと十分に発電できない
・広い土地が必要となる

風力発電は、広い土地を確保できる地域に適しているため、東北地方や北海道に集中しています。ただし、太陽光発電と同様に、悪天候の場合は発電ができません。

水力発電

水力発電は、水が高い場所から流れ落ちるエネルギーを電気に換えるシステムです。高低差を作り出す方法には、ダム式・水路式・ダム水路式の3つがあります。

水力発電のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリット デメリット
・発電量を調節できる
・電気エネルギー変換効率が高い
・降雨量が少ない時期は発電量が減る
・事前調査に手間と時間がかかる

日本には高低差がある土地が多く、水力発電に利用できる未開発地点が数多くあります。一方、水力発電の開発には、事前調査や水利権の調整に時間がかかることが特徴です。

地熱発電

地熱発電は、地熱貯留層に貯まった水蒸気や熱水を電気に換えるシステムです。取り出した水蒸気や熱水でタービンを回して電気を作り、使用した水蒸気や熱水は冷やされて地中に戻されます。

地熱発電のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリット デメリット
・出力が安定している
・天候に左右されず24時間発電できる
・開発費用が高額になる
・温泉や公園施設などと調整が必要となる

火山国である日本は、地熱発電に適しています。昼夜問わず天候に左右されることなく発電できることが大きなメリットです。ただし、開発費の確保や地域の関係各所との調整が課題となります。

バイオマス発電

バイオマス発電は、動植物由来の資源を燃焼または発酵させて電気に換えるシステムです。バイオマス発電に使用される植物由来の資源には、木材チップ・下水の汚泥・動物の糞尿などがあります。

バイオマス発電のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリット デメリット
・発電量を調節できる
・廃棄物の削減につながる
・原料の確保や収集にコストが掛かる
・電気エネルギー変換効率が低い

バイオマス発電は、廃棄物の削減をして資源を有効活用しながら発電できます。一方、原料の確保や運搬、管理などにコストがかかることが課題の一つです。

再生可能エネルギー発電促進賦課金の特徴

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電気を使う人すべてが支払うお金です。単価は全国一律になるように調整され、公平性が保たれていることが特長です。

徴収された再生可能エネルギー発電促進賦課金は、固定価格買取制度に使われ、最終的には再生可能エネルギーで発電している人に届きます。再生可能エネルギー発電促進賦課金のメリットは、下記のとおりです。

再生可能エネルギー電気が普及してエネルギー自給率が向上する

化石燃料への依存度が下がり電気料金の変動を抑えられる

再生可能エネルギーの自給率向上と化石燃料への依存度低下は、低炭素社会の実現にもつながります。

まとめ


太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、固定価格買取制度により電力会社が買い取ります。電気の買い取りにかかる費用は、再生可能エネルギー発電促進賦課金として電気を使用する人が負担する仕組みです。

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの推進に役立てられます。電気料金の変動抑制や低炭素社会の実現にもつながるため、結果的に再生可能エネルギー発電促進賦課金を負担する人々のメリットとなります。

負担している再生可能エネルギー発電促進賦課金の金額を知りたい場合は、電気料金の検針票を確認してみましょう。

参考URL
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html
https://www.yonden.co.jp/lp/kozoo/no1.html
https://miraiz.chuden.co.jp/business/electric/contract/re_charge/index.html
https://looop-denki.com/home/denkinavi/energy/electricity-en/renewableenergylevy/

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