投稿日:2021/12/24
更新日:2024/09/03
でんきの比較
目次
そもそも床暖房とは、どのような暖房器具なのかを確認しておきましょう。
床暖房は床下に設置した熱源によって、床そのものとその上の空間を暖める暖房設備です。エアコンやシーリングファンなどの設備と同様、一般的な住宅を建てる際に多く取り入れられています。
暖房器具から熱が伝わる仕組みには、大きく分けて以下の3パターンがあります。
床暖房は、主にふく射熱を生かした暖房設備です。同じくふく射熱を利用した暖房設備には、こたつや石油ストーブなどがあります。ふく射熱による暖房器具は空間を均一に暖められるため、快適な室内温度を保ちやすくなる点が特徴です。
また床暖房は、伝導熱や対流熱による暖房効果も期待できます。
床暖房のある部屋で生活すると、足が床に触れることで床暖房の熱が直接伝わってきます。これにより足元から暖められ、血流によって全身に熱がめぐることで、体感温度が高くなるでしょう。背中などの体幹部もぽかぽかとしてきて、心地よく過ごせるはずです。慢性的な冷え性に悩んでいる方や、血流が滞って冷えやすい高齢者の方に特におすすめの暖房器具といえます。
一方で、空間温度は床から離れれば離れるほど徐々に低くなり、頭の位置の温度は比較的低い状態を保てるでしょう。そのため床暖房で室内の空気を調整すると、頭部周辺の温度が上がり過ぎたことによってぼーっとしてしまうような状況を防げます。仕事や勉強など、集中が必要な空間にも適した暖房器具です。
さらには床暖房は床から天井に向かって自然対流が起きることから、対流熱も発生し、室内全体の温度差が大きく開きにくいというメリットもあります。風を送って対流を生むわけではないので、部屋のホコリを舞い上げたり、乾燥を助長したりするようなことはありません。ストーブなど火を使う暖房器具のように水蒸気が発生することもなく、結露などが起こる可能性が低いです。
なお伝導熱を利用した暖房設備の代表例には、ホットカーペットや湯たんぽなど、対流熱を利用した暖房設備の代表例にはファンヒーターやエアコンなどが挙げられます。これらの暖房器具は熱源が1カ所に集中しているのに対し、床暖房は熱源が広範囲にわたることから、部屋全体を素早く暖められる点も大きな特徴です。室内に暖房器具を設置するスペースを確保する必要もなく、空間を広々と使うこともできます。
床暖房とそれ以外の暖房機器の違いについては、後半で詳しく解説します。
床暖房には大きく分けて以下の2つの種類があります。
近年では、温水循環式を取り入れる一般住宅が増えています。温水を作る方法には電気とガスの2つのパターンがあります。
電気で温水を作るタイプの温水循環式床暖房は、多くの場合、ヒートポンプを使って大気の熱をくみ上げる仕組みとなっています(ヒートポンプ式)。電気式床暖房よりも少ない電気で効率的に熱を得られるため、同じ電気を用いた床暖房でも、光熱費を大幅に抑えられる傾向にあります。温度がゆっくりと上昇し、体がじんわり暖まるような効果を実感できるでしょう。
床暖房の電気代は床暖房の種類と面積によって変わります。
面積は各メーカーの製品によってさまざまですが、おおよそ6畳~16畳のバリエーションがあり、リビングの大きさを考えると8畳が一般的です。各床暖房の種類に合わせて詳しくみていきましょう。
電気式床暖房の電気代の目安は以下の通り。
ひかえめ(床温約25℃) の場合 |
あたたかめ(床温約30℃) の場合 |
|
---|---|---|
10畳 | 約3,300円/月(※) | 約7,300円/月(※) |
1日8時間連続使用、室温約20℃一定状態で30日運転、電力料金目安単価27円/kWh(税込)においての電気代(メーカー算出)
出典:床暖房システム:電気式床暖房|Panasonic
https://sumai.panasonic.jp/interior/floor/yukadan/lineup_denki/
電気式床暖房のタイプはおおまかに3つあります。
電熱線ヒーター式床暖房は従来の電気式床暖房タイプで、床下にヒーターを設置します。
蓄熱式やPTCヒーターのようにコストを抑えるような仕組みはありませんが、初期費用が安いので手軽に始められるのがポイントでしょう。
蓄熱式床暖房は床の下へヒーターと蓄熱材を設置することで、熱を蓄積させる時間と放熱する時間をずらすことができる床暖房です。
例えば、電気代の安い深夜時間を利用し蓄熱を行い日中に放熱することで、日中に蓄熱と放熱をさせるよりも電気代を抑えられるのです。
PTCヒーター式床暖房は床暖房全体に温度センサーがあり、床の温度が暖かい場所での発熱を抑えることができる床暖房になります。例えば、日当たりが良い場所や熱がこもっている場所は発熱させないことで、無駄な電気代を抑えることが可能です。
温水式床暖房の電気代の目安は以下の通り。
ひかえめ(床温約25℃) の場合 |
あたたかめ(床温約30℃) の場合 |
|
---|---|---|
10畳 | ー | 約3,900円/月(※) |
1日8時間連続使用、外気温約7℃、室温約20℃一定状態で30日運転、電力料金目安単価27円/kWh(税込)においての電気代(メーカー算出)
出典:床暖房システム:電気式床暖房|Panasonic
https://sumai.panasonic.jp/interior/floor/yukadan/lineup_onsui/index.html
メーカーによってかかる電気代(ガス料金)は違いますが、目安として挙げたパナソニックの床暖房の場合は、電気式床暖房より温水式床暖房の方がランニングコストは安くなります。例えば蓄熱式床暖房は深夜時間の電力を使って蓄熱するため、比較的ランニングコストは抑えられるでしょう。
次に、他の暖房機器と床暖房の電気代や性能を比べていきます。
まず初期費用に関しては、床暖房が一番高くなりがちです。
例えばパナソニックの温水式床暖房「フリーほっと温すいW」は10畳で40万程度、電気式床暖房「フリーほっと」は10畳で60万程度かかります。その他のエアコンやこたつなどの暖房機器は高くても数万円ほどの初期費用で済みますので、その差はかなり大きいと言えるでしょう。比較では初期費用を抜いたコストや機能面などを比べて紹介していきますので、ぜひ参考ください。
床暖房 | エアコン | |
---|---|---|
暖まり方 | 部屋全体が暖まる | 部屋全体が暖まるが、 足元が冷えやすい |
暖まるスピード | 部屋全体が暖まるまで時間がかかる | ONにして数分後には温風が出るが、 部屋全体が暖まるまでは時間がかかる |
コスト | エアコンよりはコストがかかる | 省エネエアコンはコストが低い |
メンテナンス | 耐久年数は約30年以上、 定期的なメンテナンスが必要 |
耐久年数は約10年、 フィルターの掃除などが必要 |
清潔感 | チリやホコリが舞わない、 生活臭などのニオイが付くことがない |
チリやホコリが舞ってしまう、 ニオイが付いてしまうこともある |
エアコンは床暖房よりコストが安く、新しい製品に買い替えやすいのが特徴です。
床暖房もエアコンも部屋全体を暖めることができますが、エアコンは温かい風を室内に循環させるため、室内の空気が乾燥してしまったり、ホコリが舞ってしまったりしてしまいます。床暖房は床からの輻射熱によって空気を暖めていくため、より衛生的といえるでしょう。
床暖房 | ホットカーペット | |
---|---|---|
暖まり方 | 部屋のどこにいても暖かい | ホットカーペットの部分のみが温かい |
暖まるスピード | 輻射熱で部屋の空気を暖めるため 部屋全体が暖まるまで時間がかかる |
ONにして数分後にはホットカーペットの 部分は温かくなる |
コスト | ランニングコストは、 ホットカーペットのみ使用した場合のコストよりは高い |
ホットカーペットのみならコストは安いが、 部屋全体を暖めるには他の暖房機器も必要になるため、 コストがかさむこともある |
メンテナンス | 耐久年数は約30年以上、 定期的なメンテナンスが必要 |
耐久年数は約10年、 壊れたら基本的には買い替える |
清潔感 | チリやホコリが舞わない、 生活臭などのニオイが付くことがない |
チリやホコリが舞わない、 カーペットが汚れたら洗濯が必要 |
床暖房は設置した部屋のみで利用できるものに対して、ホットカーペットは持ち運びが簡単で、電源さえあればどこでも使用することができるという特徴があります。
床暖房に比べてかなり手軽なところが利点といえるでしょう。
反面、ホットカーペットはホットカーペットに接している面のみが温かくなるだけなので、部屋全体を暖めるほどの効果はありません。もし暖かい部屋にしたい場合は、エアコンやストーブなどとの併用が必要になります。そのため、他の暖房機器と併用して使った場合の電気代は、床暖房より高くなる可能性はあります。
床暖房 | 石油ストーブ | |
---|---|---|
暖まり方 | 部屋のどこにいても暖かい | 部屋全体が暖かい、石油ストーブの燃焼の強さによっては、 暑すぎたり、足元が冷える場合も |
暖まるスピード | 輻射熱で部屋の空気を暖めるため 部屋全体が暖まるまで時間がかかる |
着火後にして30分程度で部屋が暖かくなる |
コスト | ランニングコストは、 ホットカーペットのみ使用した場合の コストよりは高い |
初期費用もランニングコストも比較的安い。 石油の価格によって、 石油を購入するコストが変動する |
メンテナンス | 耐久年数は約30年以上、 定期的なメンテナンスが必要 |
耐久年数は約10年、 壊れたら基本的には買い替える、 定期的な手入れが必要 |
清潔感 | チリやホコリが舞わない、 生活臭などのニオイが付くことがない |
チリやホコリは舞わないが、 室内で灯油を燃焼させるため、 換気が必要。乾燥しがちなので、 お湯を沸かすなどして加湿を行う |
部屋全体を暖かくする点では床暖房も石油ストーブも効果的です。ストーブは製品によっては重さがあるものの、いろいろな場所に移動させて使用することができるので、有効活用できる方法が多いといえるでしょう。
床暖房はそうした利便性はないものの、安全性や清潔感は石油ストーブよりも勝っています。また、床暖房は運転時間をタイマーで設定できるため、朝目覚める前や、家に帰ってくる前に運転をオンにすることで、部屋が暖まるまでの時間をカットできる利点があるでしょう。
床暖房 | こたつ | |
---|---|---|
暖まり方 | 部屋のどこにいても暖かい | こたつの部分のみが暖かい |
暖まるスピード | 輻射熱で部屋の空気を暖めるため 部屋全体が暖まるまで時間がかかる |
ONにして数分後にはこたつの部分だけは 温かくなる |
コスト | 初期費用が高い。 ランニングコストは、 ホットカーペットのみ使用した場合のコストよりは高い |
こたつのみならコストは床暖房より安いが、 部屋全体を暖めるには他の暖房機器も必要になるため、 コストがかさむこともある |
メンテナンス | 耐久年数は約30年以上、 定期的なメンテナンスが必要 |
耐久年数は約10年、 壊れたら基本的には買い替える、 こたつ布団のみを買い替えることも |
清潔感 | チリやホコリが舞わない、 生活臭などのニオイが付くことがない |
チリやホコリは舞わない、 こたつ布団が汚れたら洗濯が必要 |
床暖房が部屋全体を暖めるのに対し、こたつはこたつの中のみを温めます。そのため、エアコンや石油ストーブと併用して使う方も少なくありません。
室内の快適さは床暖房の方が効果的ですが、こたつは多くの暖房機器の中でもこたつならではの、独特の魅力があるのが特徴でしょう。
床暖房はほかの暖房機器と比較してみると、初期費用や電気代といったコストが一番高めになることがわかりました。
ただし、暖房機器を2つ以上併用して使っている場合は、床暖房の方がコストが抑えられる可能性があります。
ここからは床暖房のメリットとデメリットを紹介します。
床暖房は、部屋全体を心地よい室温に保つことができることが最大のメリットと言えます。暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ沈みますので、先述のとおり必然的に足元の空気のほうが温度が低い状態になります。足元が温かければ室内の温度が高くなくても快適に過ごせるため、心地の良いやわらかな暖かさが体感できるのです。
また、他の暖房機器との比較でも紹介した通り、床暖房は室内の空気を汚したり、乾燥させたりしないで部屋を暖かくすることができます。
清潔さでみると、ホットカーペットやこたつは、カーペットやこたつ布団の洗濯が必要であったり、ストーブやエアコンは汚れた部分の掃除が必要だったりしますが、床暖房は定期的なメンテナンスがあるものの、洗濯や掃除などを自分で行う必要がなく、他の暖房機器よりも手間が発生しません。
デメリットとして挙げられるのは、やはり初期費用が高いことでしょう。製品の種類や面積によって変わりますが、相場として10畳あたり50万前後かかります。
また、購入後すぐに使えるこたつやホットカーペットなどと違い、業者による施工が必要になりますので、他の暖房機器よりも大がかりに感じられるかもしれません。業者に依頼し、スケジュールを決め施工を行うことと、初期費用の高さは床暖房を取り入れるかどうか考える上でのポイントになります。
コストが高いという点において、初期費用はどうして発生してしまうところですが、ランニングコストである電気代は、使用方法で節約することができます。節約方法をチェックしていきましょう。
床暖房は床から室内の温度を温めていくため、室内全体が暖まるまでに1時間程度時間がかかります。室内が暖まってからは省エネモードなどでコストを節約することも可能ですが、オンオフを繰り返してしまうことで、室内が暖まるまでの時間を何度も発生させてしまうことになり、結果コストが高くなることも。室内が暖まったらオフ、寒くなったらオンということを繰り返すより、つけっぱなしにして、やや低い温度を一定に保つほうが節約の効果がでるでしょう。
床暖房のリモコンはエアコンのリモコンと似ている部分があり、ひかえめモードや、自動運転モードがあります。ほかには、床暖房のエリアを分割して調節できる場合もあるため、例えばリビングとダイニングの2カ所が床暖房の場合は、使っている部屋のみをオンにすることも可能です。そうした機能を使うことで効率的に床暖房を使用してコストを抑えることができます。
床暖房は部屋全体の空気を暖めるため、オフにしてから急に寒くなるということはありません。長時間外出するような日は20~30分前に運転をオフにすることで、その分のコストを抑えることができます。なお、床暖房にタイマー機能がある場合は室内にいる時間をあらかじめ設定しておけば、外出時の運転の切り忘れ防止をすることが可能です。
床暖房のメーカーでは、ラグやカーペットなどの敷物を敷いたり、足のないソファを置くことは奨励していません。敷物を敷くことによって放熱を妨げてしまい、効果が低減してしまうためです。部屋が暖まりやすい状態にするには、カーペットは敷かず、ソファも足があるものを選ぶのがよいでしょう。
他の暖房機器も同様ですが、室内が暖かい状態にしようとしても、窓から温かい空気が逃げてしまうと、部屋は暖まりづらくなってしまいます。手軽にできる断熱対策としては、窓に断熱フィルムやシートを貼ることです。また、窓に取り付けるカーテンも、断熱できるカーテンがありますのでチェックしてみましょう。戸建ての家の場合はペアガラスを選ぶ方法もあります。ペアガラスはガラスが2重になっていて、断熱性が高いという特性があります。
各電力会社、ガス会社では、床暖房プランのサービスが提供されています。床暖房の使用料に応じてプラン分けをされていることが多いため、実際に使用した電気量やガスのエネルギー量と契約しているプランを見比べて、料金プランの見直しをすることも大事です。
最後に、床暖房でよくある質問をピックアップして紹介します。床暖房を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
床暖房は熱で床を暖めているため、つけっぱなしにして火災にならないか気になる方も少なくありません。しかし、床暖房は最高でも60度程度までしか上がらない製品がほとんど。安全装置もついている場合が多く、欠陥があった古い床暖房で火事になってしまった例がある程度になります。そのため、床暖房のつけっぱなしで火災になるリスクは限りなく低いと言えるでしょう。
温水式床暖房は水を循環して使用します。充填している水をずっと使うため、水道料金が上がるということはありません。しかし、充填している水は毎年入れ変えを行った方が良いというケースがありますので、床暖房を取り付ける際に確認を行うようにしましょう。
床暖房の電気代はエアコン等よりも高くなる傾向があります。しかし床暖房は、頭寒足熱の室内環境を整えることができ、快適に過ごすことができるメリットがある暖房器具です。床暖房を使用する時のランニングコストをできるだけ節約したい場合は、電気代プランの見直しも視野に入れてみましょう。
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