投稿日:2022/10/14
更新日:2024/11/19
でんきの比較
一人暮らしに比べると、家賃や光熱費をシェアできるぶん割安になる2人家族。
他人同士が一緒に暮らすと生活習慣やお金の価値観の違いが浮き彫りになることもありますが、光熱費に関しては相場や節約の基本を知ることですれ違いを減らせるかもしれません。
「平均より高いから、ちょっと工夫しよう」
「◎◎は電力の無駄使いだから、ちょっと気をつけよう」
と、お互いが思いやれると関係も円満になります。
今回は電気のスペシャリストが、2人家族の電気代について解説。
電気代の相場から基礎知識、節約のコツまでを紹介しますので、電気代を抑えたい方はぜひ参考にしてください。
目次
総務省の家計調査によると、二人世帯の電気代の平均は、10,940円。単身世帯の平均が6,726円なので、やはり一人暮らしよりも電気代は割安です。
地域別、季節別も詳しく見てみましょう。
参考:総務省.「家計調査(家計収支編)」.
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040140573 ,(2024-08-08).
地域 | 電気代 | 水道・光熱費 |
---|---|---|
北海道 | 8,783円 | 20,876円 |
東北(宮城) | 8,308円 | 19,350円 |
関東(東京) | 8,608円 | 16,440円 |
北陸(石川) | 9,831円 | 18,853円 |
中部(愛知) | 8,665円 | 16613円 |
近畿(大阪) | 8,043円 | 16,051円 |
中国(広島) | 8,940円 | 16,961円 |
四国(愛媛) | 9,583円 | 17,067円 |
九州(福岡) | 8,163円 | 16,120円 |
※総務省「2019年全国家計構造調査」
2024年8月時点で、地域別の調査は2019年度が最新。コロナ前の数値であり、各地方から1県ずつピックアップしたものですが、電気代が高いのは北陸の石川、四国の愛媛、中国の広島の順番です。都市別(2019~2021年の平均)でも、福井市、富山市、金沢市と北陸が高くなっています。
一般的には「都会の方が物価が高い」と言われ、都道府県別の消費者物価指数も東京都、神奈川、京都がTOP3なのですが、電気代の相場とは一致しません。
また、表には参考までに電気代を含む水道・光熱費の合計も入れましたが、こちらは北海道、東北、北陸の順。冬の暖房に灯油代が多くかかる分、合計すると高くなります。
シーズン | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
1月 | 11,005円 | 11,492円 | 15,130円 |
2月 | 11,586円 | 13,720円 | 16,478円 |
3月 | 11,881円 | 14,436円 | 15,122円 |
4月 | 9,601円 | 12,490円 | 12,265円 |
5月 | 8,449円 | 10,463円 | 9,748円 |
6月 | 7,403円 | 9,019円 | 8,262円 |
7月 | 7,075円 | 8,820円 | 7,788円 |
8月 | 8,725円 | 10,762円 | 8,974円 |
9月 | 9,064円 | 11,757円 | 10,030円 |
10月 | 8,554円 | 11,271円 | 9,836円 |
11月 | 8,069円 | 10,274円 | 8,567円 |
12月 | 8,788円 | 11,185円 | 9,085円 |
出典:総務省 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0002070008
月別で見ると、最も高いのは2~3月。最も安いのは7月です。
実際に使った月と請求月は1~2ヶ月ずれるため、真冬は電気使用量が多く、5~6月頃は少ないと言えます。冷暖房の影響が大きいため、冷房をよく使う8~10月も高めです。
なお2023年の夏は電気代の高騰を受けて政府からの補助があり、電気代の高騰が抑えられました。前年の冬は同様の補助金が実施されておらず、また同年の冬は補助額が半額となったため、例年に比べると2023年は夏と冬の間で大幅な差が生じています。
電気代の節約を考える前に、電気料金の基本をおさらいしておきましょう。
電気代(電気料金)は、毎月固定でかかる「基本料金」と、使用量によって変動する従量料金(電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金)で決まります。
燃料費調整単価は、発電に必要な石炭や液化天然ガス(LNG)などの燃料の輸入価格の変動によって変わるもの。原料が高騰すると燃料費調整単価も高くなります。
2人暮らし世帯の電気代が高くなるのはなぜでしょうか。その原因には、さまざまなものがあります。
まず考えられるのは、地域差による基本料金の違いです。引っ越しなどにより基本料金の高い地域に転居した場合、電気代が上昇する可能性があります。
季節変動による使用量の増加も、電気代を左右します。特に春から夏、秋から冬にかけては冷暖房の使用量が増えるため、電気代が高くなりやすいです。
一定期間電気代が高い状態が続くのであれば、契約プランとのミスマッチも考えられるでしょう。 電気の使用量が増えたにも関わらず契約プランを見直していない場合、電気代が割高になる可能性があります。さらには世界的なエネルギー価格の高騰により、電気料金自体が上昇している可能性もあります。
その他、1人暮らしから2人暮らしになって電気代が上がるケースでは、原因の一つに電気の使用量の増加も考えられます。ワンルームから2LDKなどに住み替えた際は、照明器具の数が増えるのはもちろん空調のために必要となる電化製品のパワーも多くなるため、その分電気代が上がるでしょう。各々が別の部屋で過ごす時間が多ければ多いほど、電気代も割高になるはずです。1人用から家族用の電化製品に買い替えたことで、消費電力が増え、電気代がかさむ可能性もあります。
またライフスタイルが変化し、在宅ワークで自宅で過ごす時間が増えたときなども、電気代は上がりやすい傾向にあります。
参考:経済産業省資源エネルギー庁.「第1節 世界的なエネルギーの需給ひっ迫と資源燃料価格の高騰」.
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/1-2-1.html(2024-08-07)
結婚してもお財布は別、という夫婦が増えています。ルームシェアや同棲の場合も含め、家賃や光熱費の支払いの分担をどうするかは方針を決める必要がありますね。
最も多いのは、折半。共用の口座に決められた額を入れておき、そこから支払う方法です。
その他、「収入が多い方が支払う」「役割分担で決める(例:片方が支払ってもう片方が家事を多めに負担する)」といったケースもあります。
重要なのはお互いが納得していることなので、しっかり話し合いましょう。
ここからは、具体的な節約方法のご紹介に移ります。
少し意識するだけで簡単にできることも多いので、ぜひ実践してください。
関西・中国・四国・沖縄以外の地域では、契約アンペア(A)が選べます。
一般的には、
「契約アンペアが大きいほどブレーカーが落ちにくい」「契約アンペアが小さいほど基本料金が安い」という理解でOKです。
アンペアを下げるだけで月200~300円ほど電気代が下がるので、2人暮らしで50Aであれば下げることを検討してもよいでしょう。
逆に、「2人家族になってブレーカーがよく落ちるようになった」と不便を感じているなら、上げるという選択肢もあります。
※基本料金は東京電力の従量電灯Bプランの場合
どの電力会社も、電気の使用量やよく使う時間帯に合わせたいくつかのプランを用意しています。
一人暮らしから2人家族になって生活習慣が変わったり、リモートワークで日中の在宅時間が増えたりすると、今までのプランでは割高になることもあります。
定期的にプランを見直すようにしてください。
エアコンの使い方については、家庭ごとに常識が違います。
できるだけ使わない家、ガンガンに冷やす家、熱帯夜でも寝るときは必ず消す家、冬はエアコン以外の暖房器具を使う家などさまざまで、2人家族を始めた当初はその常識の違いでケンカになることも。
節約の基本を一緒に理解することで、“我が家の常識”を2人で作ってみませんか。
エアコンのフィルターは月1~2回は掃除するようにしましょう。フィルターが汚れていると効きが悪くなり、電気代も高くなります。
自動お掃除機能付きでも、月1回は手入れするようにしてください。
不快なのを我慢してまで守る必要はありませんが、夏は28℃、冬は20℃を基準にし、冷やしすぎたり温めすぎたりしないようにしましょう。
エアコンの冷房を弱めにして扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる、冬はできるだけエアコンを使わずホットカーペットやこたつにするのも節約効果があります。
エアコンの除湿機能には、以下の2種類があります。
弱冷房除湿で冷房より安く、再熱除湿は冷房より高いので、使い分けを意識しましょう。通常の除湿モードは弱冷房除湿、再熱除湿は“さらさら除湿”や“カラッと除湿”といったボタンであることが多いです。
外気温の影響を受けやすい部屋の場合、冷暖房の効きが悪くなってエアコンの消費電力も大きくなります。窓から熱気や冷気が入ってこないように、遮熱カーテンや断熱シートを使うのもおすすめです。
「夫婦だけだから小さめの冷蔵庫にして節約しよう」と考えるかもしれませんが、実は省エネ効果が高いのはファミリー用の高価格帯の冷蔵庫。一人暮らし用の200L以下の冷蔵庫より、ファミリー向けの600Lの冷蔵庫のほうが電気代が安いこともよくあるのです。
冷蔵庫の電気代を節約するポイントは以下。
電気代のために高い冷蔵庫を買う必要はありませんが、冷凍ストッカーが欲しいと考えている人や家族が増える計画がある場合は、大きな冷蔵庫を買ってもいいかもしれません。
2人家族でできる節約術はほかに、
などがあります。
照明はわかりやすいと思いますが、意外と知られていないのがテレビの消費電力。液晶が大きいほど消費電力が大きくなります。
ご紹介したように電気代節約のコツはたくさんありますが、大幅な節約を目指すなら電力会社を乗り換えるのもおすすめです。
引っ越しのタイミングで安い電力会社を選んでおくと手間がなくラクですが、もちろん住み始めてからでも変更可能。すでに新電力を使っている場合でも、乗り換え特典で割引やポイント付与があるとかなりお得になります。
集合住宅で大家さんが一括徴収しているようなケースを除き、自由に変更できますので検討してみてください。
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